未成年の子供がいる状況で離婚すると、非親権者は親権者に対して子供が成人するまで、毎月数万円の養育費を支払わなければなりません。
きちんと子供の為に使われているか確認する方法はありませんし、できることなら払いたくないと考える方も多いのではないでしょうか。
しかし、養育費の支払いを拒み続けると、最終的に給与の半分が差し押さえられることになります。
このページでは、養育費を払わないとどうなるか・育費の減額が認められるケースなどを紹介していきます。
また、実際に養育費を減額させる際の流れなども解説するので、そちらも参考にしてください。
養育費を払わないとどうなる?
まず、養育費の支払いを拒み続けると、以下の流れに沿って財産が差し押さえられます。
- 元パートナーから催促が来る
- 内容証明郵便が届く
- 裁判所から履行勧告が届く
- 財産が差し押さえられる
詳しくは次から見ていきましょう。
元パートナーから催促が来る
養育費を払わないとまず、元パートナーから催促の電話やメールが届くでしょう。
元パートナーからの連絡を一切無視している方も多いですが、なるべくこの時点で電話やメールに応じることをおすすめします。
理由としては以下などを挙げることができます。
- 払う意思をアピールすることで、養育費の減額を交渉しやすくなる
- 一切の連絡を無視すると相手が裁判所を通じて請求してくる可能性がある
原則、養育費の支払額は本人達で決定することができます。
そのため、裁判所と関係がないこの段階で交渉することをおすすめします!
内容証明郵便が届く
元パートナーからの電話やメールを無視し続けると、内容証明郵便が届く可能性が高いです。
内容証明郵便とは、以下に挙げることを公的に証明する郵便のことです。
- 到着日
- 宛先
- 差出人
内容証明郵便自体に法的拘束力はありませんが、郵便を受け取ってしまうと「催促に気づかなかった」という言い訳はできません。
また、内容証明郵便の送付には多少の手間がかかることから、元パートナーの養育費に関する本気度はかなり高いと言えるでしょう。
元パートナーからの電話やメールは無視していても、この段階で養育費を払っておくことをおすすめします。
裁判所から履行命令が届く
内容証明郵便の到着後も養育費を支払わなかった場合、裁判所から履行命令が届く可能性があります。
履行命令は法的拘束力があるため、無視してしまうと、養育費支払義務者の財産が差し押さえの対象に入ります。
履行命令に異議があれば調停や裁判を起こすことができますが、今まで無視を貫いていた場合、非常に不利な状態で戦わなければなりません。
場合によっては、調停や裁判の結果、養育費負担がさらに重くなる可能性も考えられます。
そのためどんなに遅れても履行命令が届いた時点で、養育費を支払うことをおすすめします。
財産が差し押さえられる
履行命令の到着から数週間が経過しても、養育費の支払いがない場合、財産の差し押さえを受けることになります。
差し押さえの対象になる財産としては、以下などを挙げることができます。
- 銀行預金
- 給与の2分の1
- 土地や建物などの不動産
- 貴金属類
安定して徴収できることから、多くの場合は給与の差し押さえがおこなわれるでしょう。
また、給与の差し押さえが実行されると会社の経理担当者に必ず事情がバレてしまいます。
養育費の差し押さえを理由に、会社から解雇されることはありませんが、社内評価や人事への影響が考えられます。
加えて、差し押さえは対象者に通知する義務はありません。
ある日突然給与が2分の1になったり、預金が引き出せなくなることも考えられます。
そのため、差し押さえを受ける前に養育費を払うことを強くおすすめします。
面会交流に影響はない
養育費の支払と面会交流は権利の性質が全く異なります。
面会交流は子供が親に会う権利でもあるのです。
そのため、DVをおこなっていた場合などでなければ、原則面会交流は認められます。
元パートナーから「養育費を払わなければ子供と会わせない」などと言われても、気にする必要はありません。
軽い罰則を受ける可能性がある
また、養育費の支払はあくまでも元夫婦間の権利関係であるため、養育費を払わないことで警察から逮捕される心配はありません。
しかし、差し押さえを受けると財産の調査官が対象者の住所や車などを調べに来るなど、生活に影響は少なからず出てくるでしょう。
さらに裁判所からの履行命令を無視すると、10万円以下の罰金が課されたり、遅延損害金(養育費の利子にあたるもの)が請求される可能性があります。
負担を軽くする意味でも、早めに養育費を払うことをおすすめします。
養育費の減額が認められるケース
ここまで、養育費を払わないとどうなるかについて解説してきました。
しかし、以下などの場合は養育費支払義務者から調停を申し出ることで、養育費を減らすことができます。
- 再婚相手に十分な経済力がある場合
- 再婚相手が子供と養子縁組を結ばなかった場合
- 自身が再婚して子供が増えた場合
- 自身の生活維持が困難である場合
詳しくは次から見ていきましょう。
再婚相手に十分な経済力がある場合
元パートナーが再婚し、再婚相手に十分な経済力がある場合は、養育費支払義務者の負担は減ることになります。
仮に元パートナーと再婚相手の収入だけで、子供の養育が可能であれば、養育費支払義務者の負担が0になる可能性もあります。
そのため元パートナーが再婚した際は、養育費減額の調停の申立を検討しましょう。
再婚相手が子供と養子縁組を結ばなかった場合
また、元パートナーが再婚したが、再婚相手と子供が養子縁組をしなかった場合も養育費の減額を受けられる可能性があります。
上記の場合であれば、元パートナーは再婚相手の収入を養育費として利用できる様になるためです。
そのため、元パートナーが再婚した際は、再婚相手と子供の養子縁組について聞くことをおすすめします。
自身が再婚して子供が増えた場合
また、自身が再婚して扶養家族が増えた場合も、養育費の減額が認められる可能性があります。
具体的な額は、生活状況や増えた扶養家族の数などによりますが、場合によっては数万円程の減額を受けられる可能性があります。
加えて、自身の扶養家族の増加を理由とする養育費の減額は、元パートナーの状況に関わらず請求することができます。
自身の扶養家族が増えた場合は、積極的に養育費減額の調停申立をしましょう!
自身の生活維持が困難である場合
離婚後、退職などによって十分な収入を得ていない場合は、養育費の減額を求めることができます。
例えば、平成18年6月の養育費減額申し立て事件では、14万円の養育費が9万円まで減額されました。
しかし注意点として、養育費の支払は破産を行ったとしても免除されることはありません。
破産の免責債権の中に養育費は入らないことを覚えておきましょう。
養育費を減額する際の流れ
ここまで、養育費の減額が認められるケースについて解説してきました。
しかし実際に養育費を減額するためには、以下の流れに沿っておこなう必要があります。
- 元パートナーに養育費の減額を交渉する
- まとまらなければ家庭裁判所に調停を申し出る
詳しくは次から見ていきましょう。
まずは元パートナーに交渉しよう!
まずは、元パートナーへ養育費の減額について交渉をしましょう。
その際は以下などに気を付けると良いでしょう。
- 支払う意思はあることをアピールする
- 現在の生活状況について、書類で説明する
- 合意が得られなければ、調停を申し出ることを伝える
ただし、交渉に多くの時間をかけるのは考えものです。
交渉している間は、離婚時に定められた養育費を支払い続けなければならないためです。
そのため、自身が最大限譲歩できる額でも合意が得られなかった場合は、素早く次の調停手続に進むことをおすすめします。
まとまらなければ家庭裁判所に調停を申し出よう!
家庭裁判所に養育費の減額を申し立てる際は、以下の書類が必要です。
- 養育費調停申立書
- 連絡先等の届出書
- 事情説明書
- 進行に関する照会回答書
書類の入手方法などは裁判所のホームページなどを参考にすると良いでしょう。
また、調停を申し立てるためには以下の費用がかかります。
収入印紙 | 1200円 |
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郵便切手 |
|
加えて調停費用については以下の点に注意が必要です。
- 裁判所によっては切手代が多少変わる
- 複数人分の養育費減額を申し立てる場合は、上記のセットが人数分必要になる
印紙は郵便局で簡単に購入できますし、調停であれば費用や時間的負担もそれほど大きくありません。
このページで紹介した理由で養育費の支払いが難しい人は、減額の調停を積極的に検討しましょう!
養育費の支払が厳しい時は弁護士に相談しよう!
このページでは、養育費を払わないとどうなるかなどについて解説してきました。
このページの内容をまとめると以下の通りになります。
- 養育費の支払いを拒み続けると最終的に差し押さえを受ける可能性がある
- 養育費の不払いによって面会交流に影響がでることはない
- 養育費を払わない場合は、養育費に加えて遅延損害金や罰金が課せられる可能性がある
- 元パートナーが再婚した場合や、自身に扶養家族が増えた場合などは、養育費が減額される可能性がある
- 養育費を減額したい時は、元パートナーに交渉した後、家庭裁判所で調停を申し出よう!
また、養育費の支払いが厳しい場合は弁護士に相談することもおすすめです。
交渉や調停などに関してアドバイスを貰うこともできますし、委任すれば面倒な手続きをする必要もなくなります。
まずは法テラスなどを使い、無料で弁護士に相談してみましょう!