住宅ローンの審査では、信用審査が最も重要なポイントです。
この項目がしっかりと見たされていないと、住宅ローンの審査を通過できません。
確実に審査を通過したいと考えるなら、信用審査をクリアするためのポイントを把握しなければなりません。
この記事では、住宅ローンの審査を通過するために必要な情報と、信用審査をクリアにはどのような条件を満たせばいいのかを説明します。
住宅ローンはカードローンと違って総量規制の対象外
総量規制とは年収の3分の1以上の融資を禁止する貸金業法に定められた規制の一つです。
ただし総量規制が適用されるのは消費者金融系カードローンのみであり、銀行系カードローンや住宅ローンには適用されません。
そのため、システム上はカードローンで年収の3分の1近くの融資を受けていても住宅ローンを利用することは可能です。
しかし、現実的な話をするならばカードローンで年収の3分の1近くの融資を受けている人が住宅ローンの審査に通るのは難しいでしょう。
なぜならば、住宅ローンでは返済比率という審査基準があるためです。
返済比率については次から詳しく見ていきましょう。
住宅ローンの審査では「返済比率」が最重要
住宅ローンの審査で最も影響を与えているのは返済比率です。
ただ、返済比率という言葉を聞いてもわからない方もいますので、先に返済比率について説明します。
返済比率というのは、1年間に年収に対して返済できる金額の割合を示す数字です。
この数字が大きすぎる場合は審査に落とされてしまいます。
金融機関にとって、審査で信頼性を見抜くために必要な情報の1つで、審査に落とされる多くの人がこの項目によって落とされているのです。
返済比率はパーセンテージで表示されます。
20%や30%などの数字で計算されて、最終的に金融機関や民間で提供している住宅ローンの審査会社が判断する材料として使われています。
もちろん返済比率が高ければ危ないと判断されて、審査に落とされる可能性が高まります。
返済比率について説明しましたが、この返済比率は最終的に金融機関などが定めている数字までなら審査を通過できて、数字を超えてしまった場合は審査に落とされる可能性が高まってしまいます。
審査を通過したいと思っている方は、返済比率を下げるように心がけてください。
この数字が高ければ高いほど、返済されないのではないかと勘違いされてしまいます。
数字については、35%以内に収める必要があります。
これは住宅ローンの返済だけでなく、他社の借入も含めて計算されています。
他社の借入などが原因で、35%を超えてしまうようであれば、住宅ローンの審査に落とされる可能性はとても高くなってしまうのです。
カードローンは返済比率が高くなりがち
カードローンと契約している方は、返済比率が高くなりやすく、住宅ローンの審査に落とされる可能性が高まってしまいます。
最大の理由は金利にあります。カードローンの金利は高く、返済時に発生している利息が増えてしまいます。
利息の負担を軽減させるため、カードローンは返済額を増やす傾向にありますが、これによって返済比率が大幅に高まってしまいます。
毎月の返済額が増えると、返済比率が比例して高くなっていきます。
カードローンの場合は、毎月の返済額もかなり大きい傾向にありますから、いつの間にか返済比率が住宅ローンの審査基準を超えてしまう可能性もあるのです。
カードローンの返済が終わらない限り、住宅ローンの審査で影響を及ぼす可能性があるほど、返済比率に大きな影響を与えているのです。
返済比率が高くなれば、当然のように住宅ローンの審査は落とされてしまいます。
せっかくいい住宅ローンを見つけたのに、カードローンが影響して審査に落とされる可能性も十分にあるのです。
返済比率の具体的な計算方法
返済比率は年間の返済額を年収で割った値です。
例えば、以下のケースで具体的な返済比率を計算してみましょう。
【ケースA】
カードローンの返済額:年間48万円(月4万円)
住宅ローンの返済額:年間100万円
年収:400万円
返済比率=(48万円+100万円)÷400万円×100=37%
【ケースB】
カードローンの返済額:なし
住宅ローンの返済額:年間100万円
年収:400万円
返済比率=100万円÷400万円×100=25%
返済の延滞・滞納があれば審査に落ちる可能性大
住宅ローンの審査では、他にも様々な項目がチェックされています。
その1つが返済の延滞、滞納という項目です。
これらの項目は信用情報機関に掲載されていて、全ての情報を金融機関が確認できます。
住宅ローンの審査は、延滞や滞納といった情報が掲載されていると、その時点で審査に落とされる可能性が高まってしまいます。
一番の理由は、返済の延滞や滞納によって、住宅ローンの返済が正常に行われないのではないかと思われる点です。
返済の延滞や滞納をされると、金融機関などは本来回収できる金銭を得られません。
最終的に債務整理などを行って、住宅ローンの支払いが行われないまま契約が終わるケースもあるため、金融機関としては延滞や滞納といった情報には敏感に反応しているのです。
過去に返済の延滞、滞納を行っていた場合はほぼ住宅ローンの審査を通過できません。
審査を通過したいと考えているなら、確実に延滞や滞納といった情報が掲載されないよう、日ごろから返済はしっかり行うようにしましょう。
横浜銀行住宅ローンの審査基準を徹底解説!審査に落ちる人の特徴と審査対策
カードローンの返済比率を抑える方法
カードローンの返済比率が住宅ローンの審査に大きな影響を与えることは前に説明した通りです。
ここからはカードローンの返済比率を下げて住宅ローンの審査に通りやすくする方法を紹介していきます。
具体的な方法としては、以下などが挙げられます。
- 住宅ローンの返済期間を長くする
- 配偶者と所得合算をおこなう
詳しくは次から見ていきましょう。
住宅ローンの返済期間を長くする
住宅ローンの返済期間を長くすれば、毎年の返済金額は下がるため、結果的に返済比率を下げることができます。
以下に先ほど計算式で触れた例で、住宅ローンの年間の返済額を100万円から80万円に減らした場合の返済比率を計算しました。
【ケースC】
カードローンの返済額:年間48万円(月4万円)
住宅ローンの返済額:年間80万円
年収:400万円
返済比率=(48万円+80万円)÷400万円×100=32%
住宅ローンの毎年の返済額を20万円下げただけで、返済比率が5%下がりました。
しかし毎年の返済額を下げれば最終的な返済期間は伸びていきます。
住宅ローンの金利はカードローンと比べて低く抑えられはいますが、よく確認した上で年間の返済額を決めましょう。
配偶者と所得合算をおこなう
所得合算とは、その名前の通り利用者と配偶者の所得を合わせた額を年収額にする制度です。
所得合算をすれば年収が増えるため、返済比率が下がります。
以下に計算式で触れた例で、利用者と配偶者の所得を合算した結果500万円になった場合の返済比率を計算しました。
【ケースD】
カードローンの返済額:年間48万円(月4万円)
住宅ローンの返済額:年間100万円
年収:400万円(利用者)+100万円(配偶者)
返済比率=(48万円+100万円)÷500万円×100=29.6%
配偶者の年収である100万円を合算することで、返済比率が7.4%下がりました。
しかし、配偶者合算を利用する際は以下の点に注意が必要です。
- 配偶者合算は全ての住宅ローン会社で受けられる訳ではない
- 配偶者にカードローンの利用があればそれも計算される
配偶者合算を利用する際は、家族や担当銀行員とよく相談した上で利用しましょう。
信用審査ではカードローン履歴が全て見られる
信用審査では、あらゆるカードローンの履歴が確認され、どのように返済が進められているのか、そして返済に問題がなかったのかも確認されています。
全ての信用情報を確認し、最終的に問題がなければ住宅ローンの審査は通過できる仕組みです。
信用情報に書かれている内容は、カードローンの審査を受けている内容、カードローンの借入と返済の状況、そして過去に遅延や滞納を行っているかなどの問題行為です。
カードローンの審査に落とされた情報も、信用情報機関を通じてすべて確認が行われています。
そして借りている金額や返済している額なども簡単に情報として得られる仕組みとなっています。
信用情報機関は、住宅ローンの審査では必ず確認されています。
どのような住宅ローンと契約する場合でも、信用情報機関を通じて借りている情報などの確認がしっかり行われています。
その内容に問題が1つでもあるようなら、住宅ローンの審査には大きな影響を及ぼしてしまうのです。
過去のカードローン履歴も影響する可能性
審査には過去のカードローン履歴も大きな影響を及ぼしています。
過去にカードローンを利用している場合は、審査を受けている時の対応、借りて返済をしている状況などを含めて、審査に影響を与えてしまいます。
特に直近で利用しているカードローンの内容はかなり影響が強いため、場合によってはカードローンをまた利用するのではないかと考えられ、審査に落とされる可能性もあります。
返済比率に問題がなかったとしても、住宅ローンと契約をしてからカードローンを利用する可能性もありますから、金融機関としてはあらゆる視点で住宅ローンの返済がしっかり行われるように確認を取っています。
ちょっとしたカードローンの利用だったとしても、またお金を借りて返済比率が高まったり、カードローンの利用によって返済されないと思われるだけでも、住宅ローンの審査に落とされる可能性があります。
もし住宅ローンの審査を通過したいと考えるならば、カードローンの解約を行ってください。
カードローンを解約しておくと、信用情報機関に解約した内容が記載されます。
どれだけカードローンを利用していたとしても、カードローンの契約がなければ今後借りる可能性はないと判断され、住宅ローンの審査を通過できる可能性が高まるのです。
一定期間立てばカードローンの利用履歴は消える
信用情報機関は、一定の期間が経過した段階でカードローンの履歴を削除しています。
過去に利用している内容はもちろんのこと、滞納や延滞についても全て一定の期間が経過している時点で削除しています。
つまり一定の期間が経過していれば、あらゆる情報が削除されますので、審査では有利な条件が整えられるのです。
実際に信用情報機関が情報を削除するまでの期間は7年程度で、状況によって少し長引いたり、早めに削除される可能性があります。
ある程度の期間を我慢していれば、信用情報の内容が整えられ、最終的に審査を通過できる信用情報へと変わっていくのです。
過去にカードローンを利用している人は、とりあえずゆっくりと待ってみるといいかもしれません。
これによって審査に影響を及ぼすようなカードローンの情報がなくなり、住宅ローンの審査にマイナスとなる材料が大幅に減っていくのです。
審査を確実に通過したいと考えるなら、信用情報機関が情報を整えるまで待ってみるといいでしょう。
カードローン利用者が住宅ローンの審査を申込む前にやるべきこと
カードローンを利用している人が住宅ローンの審査を申込む前にやるべきこととしては、以下などが挙げられます。
- カードローンの返済を進める
- カードローンの使い道を説明できるようにする
- 使っていないカードローンは解約する
- おまとめローンで借入件数を減らす
詳しくは次から見ていきましょう。
カードローンの返済を進める
返済比率の計算式のところで見たケースA、ケースBのようにカードローンの利用していると大きく返済比率が上がります。
そのため、手元にお金があればカードローンの返済を進めておくと良いでしょう。
なお、その際は利用している全てのカードローン会社に少しずつ返済するのではなく、残高が少ないカードローン会社から集中的に返済することをおすすめします。
住宅ローンの審査では返済比率以外にもカードローンの借入件数もチェックされるためです。
特に現在4社以上カードローンを利用している場合、住宅ローンの審査に通る可能性はほぼないため注意が必要です。
カードローンの返済を進めて住宅ローンの審査に通りましょう!
カードローンの使い道を説明できるようにする
カードローンの返済が進められない場合は審査担当者に「カードローンで借りたお金を何に使ったか」を説明できるようにしておきましょう。
なぜならば住宅ローンではカードローンの用途も確認され、その際に上手く答えられない場合は「ギャンブルや浪費として使ったのではないか」「お金の管理がずさん」と判断される可能性があるためです。
具体的な方法としてレシートや領収書を提出するのが確実ですが、残っていない場合は購入したものの写真などを用意しておくと良いでしょう。
カードローンの使い道を明確にして、住宅ローンの審査に通りましょう!
使っていないカードローンは解約する
現在利用していないカードローンがあれば解約をしておきましょう。
理由としては以下などが挙げられます。
- 利用していないカードローンの借入限度額は与信枠として審査に影響するため
- 利用していないカードローンでも利用状況をチェックされるため
ただし、一度カードローンを解約すると再度利用するためには、もう一度カードローンの審査を受ける必要があります。
住宅ローン購入後もカードローンを利用する可能性があるかどうかをよく考えてから、不要なカードローンを解約しましょう!
おまとめローンで借入件数を減らす
現在2社以上のカードローンを利用している場合は、消費者金融や銀行のおまとめローンを利用することをおすすめします。
おまとめローンを利用するメリットとしては以下などが挙げられます。
- 借入件数を1社にできるため住宅ローンの審査に通りやすくなる
- ローンの管理がしやすくなる
- 金利や手数料を抑えることができる
ただし、おまとめローンは多重債務者の救済という側面を持っているため、おまとめローンを利用すると新規借入ができなくなります。
そのため、おまとめローンで一元化した後はスピーディーに返済をしておくことをおすすめします。
住宅ローンの審査に落ちた人は信用情報を確認しよう!
住宅ローンの審査に落ちた場合は、信用情報を確認することをおすすめします。
信用情報の確認手順は以下の通りです。
- 信用情報機関(JICC・CIC)に信用情報の照会を依頼する
- 本人確認書類を提出する
- 信用情報を確認する
JICC・CIC共に1000円程度でWebから信用情報の照会を依頼できます。
ただし、Webを利用する際は信用情報の発送まで数日かかります。
即日信用情報を確認したい場合は、信用情報機関の窓口で直接依頼すると良いでしょう。
カードローンも審査に影響が及ぶと考えよう
ここまでカードローンの利用は住宅ローンの審査に影響を与えるかどうかについて解説してきました。
このページの内容をまとめると以下の通りになります。
- カードローンの利用は住宅ローンの審査に影響を与える
- カードローンの利用は返済比率を上げやすい
- 住宅ローンではカードローンの利用履歴や信用情報をチェックされる
- 住宅ローンの審査に通るためには、カードローンの返済を進めるのが効果的
カードローンは住宅ローンの審査に大きな影響を及ぼします。
まずは現在自分がいくらカードローンを利用しているかを正確に把握することから始めましょう!