年収が400万円程度あると、住んでいる地域によっては、年間20万円前後の住民税を払わなければなりません。
月ベースに直すと1万円以上の出費になることから、できれば払いたくないと考える人も多いでしょう。
しかし、住民税を払わないと、延滞金を課された上で財産の差し押さえを受ける可能性があります。
このページでは、住民税を払わないとどうなるかを中心に解説していきます。
また、お金がなくて住民税が払えない場合どうすればよいのかも解説するので、そちらも参考にしてください。
住民税の払い方には2種類ある!
住民税を払わないとどうなるかを説明するためには、住民税の納付方法について解説する必要があります。
住民税の納付方法は普通徴収と特別徴収の2つに分けることができます。
違いなどは次から見ていきましょう。
サラリーマンは給料から天引きされる
企業に勤めているサラリーマンの方などは、会社から毎月給料明細書を貰うはずです。
貰った明細書に住民税という項目がある場合は、個人的に住民税を納付する必要はありません。
なぜならば会社の方で、給料から自動的に住民税が天引きされているためです。
そのため、サラリーマンの方は住民税を払わないというケース自体あまり起こらないと言えるでしょう。
しかし、サラリーマンの方であっても以下などの場合は、住民税を自主的に納付する必要があります。
- 給与が2000万円を超えている
- 副業で20万円以上稼いでいる
上記に該当する方は、次からの自営業者が納付する方法を参考にしてください。
自営業者は自分で納付する必要がある!
自営業者などの方は以下の方法で、自主的に住民税を納付する必要があります。
- 年間分の一括納付
- 6月・8月・10月・1月に分けての分割納付
納税の時期が近づくと税務署から納税通知書が届きます。
納税通知書が届いたら納付期限日を確認して、その日までに必ずお金を払うことをおすすめします。
なぜならば、納付期限日を1日でも過ぎると滞納扱いになり、延滞金が発生するためです。
詳しくは次からの住民税を払わないとどうなるかを参考にしてください。
住民税を払わないとこんなことが起きる!
冒頭でも説明した通り、住民税の納付を拒み続けると以下の流れで、最終的に自身の財産が差し押さえられる可能性があります。
- 督促状が郵送される
- 勤務先に連絡がいく
- 延滞金が課される
- 差し押さえを受ける
- 勤務先に連絡がいく
詳しくは次から見ていきましょう。
催促状が郵送される
納付通知書の納付期限日を20日過ぎても納付がない場合は、税務署から催促状が届きます。
催促状が届く段階の方は、たまたま口座の残高が足りていなかった・納付を忘れていたといった場合が多いため、催促状には納付をお願いする旨が記載されています。
また、催促状が届く段階では、延滞金の額も少ない場合が多いです。
単純に納付を忘れていた場合などは、この段階で住民税を払うことをおすすめします。
催告状が郵送される
催促状が郵送されてから、10日以内に納付がない場合は、税務署から催告状が届きます。
催告状は支払いを迫る通知書であり、住民税の納付がない場合は差し押さえに移行する旨が記載されています。
催告状が届いたら、以下などの理由から一刻も早く住民税を納付するべきです。
- 催告状が届いた時点でいつ差し押さえが実施されてもおかしくない
- 催告状が届くことで、住民税の時効が中断される
- 催告状を放置すると、分割納付を断られる可能性がある
どんなに遅れても催告状が届いた時点で、住民税を納付しましょう!
勤務先に連絡がいく
催告状が届いた後にも住民税の納付がない場合は、差し押さえの前段階として滞納者に関する調査が実施されます。
調査される項目としては、以下などを挙げることができます。
- 滞納者の給与・貯金・資産
- 滞納者が勤めている会社や取引先
調査の段階で、調査官が滞納者の会社や取引先に電話をかけることがあります。
その際、住民税を滞納していることが会社にバレてしまいます。
サラリーマンは労働基準法によって雇用が保証されているため、住民税の滞納が原因で解雇になることはありません。
しかし、社内での人事評価などには影響が出る可能性は高いでしょう。
また、滞納者の資産なども調査の対象に入ります。
つまり、自身の車や自宅周りを勝手に調べられる可能性もあるのです。
社会的影響を考えると、この段階で住民税を払っておいた方が良いでしょう。
延滞金が課される
冒頭でも説明した通り、納付期限を超えると以下の式で計算された延滞金が課されます。
延滞金=税額×延滞日数×延滞金の割合(年利)÷365
仮に20万円の住民税を半年ほど滞納すると、延滞金と併せて20万8000円ほどの請求を受けることになります。
また延滞金は納付期限から2ヶ月を経過すると、年利が3倍以上増加します。
そのため、納付期限を守って納税することを強くおすすめします。
差し押さえを受ける
滞納者に関する調査が完了した段階で、住民税の納付がない場合は、差し押さえが実行されます。
差し押さえの対象物としては、以下などを挙げることができます。
- 給与の一部(4分の1から半分程度)
- 貯金残高
- 車や土地、貴金属類など換金が可能なもの
市区町村によっては、妨害を防止するため、滞納者に通知せずに差し押さえが実行されます。
そのため、ある日ATMにいったら貯金と給与の一部がなくなっていた、ということも十分あり得るのです。
特に貯金残高に関しては、預金と違って差し押さえの制限がありません。
つまり、預金残高が住民税の額を下回っている場合は、預金の全額差し押さえられます。
一方、家族名義の財産や生活必需品などが差し押さえられる可能性はありませんが、生活自体への影響は避けられないでしょう。
差し押さえを受けないためにも、住民税は必ず納付することをおすすめします。
住民税が払えない時どうすればいいか
また、お金がなくて住民税が払えない場合は、以下の制度の利用を検討しましょう。
- 納税猶予
- 換価猶予
- 生活保護
- 債務整理
詳しくは次から見ていきましょう。
納税の猶予を受ける
以下の条件に該当する場合は、最大1年間の納付猶予を受けることができます。
- 生活の維持が困難
- 納税の意思がある
- 滞納金と同等以上の財産所持
納税の猶予は税務署にて申請をすることで、審査を受けることができます。
その際は、以下などをおこなうと猶予の審査に通りやすいです。
- 納税をする意思をアピールする
- 書類などで自身の生活状況を客観的に説明する
納税猶予は病気や失業者の方が申請するケースが多いです。
やむを得ない事情で住民税の納付が難しい方は、税務署で納付猶予の申請をしましょう!
換価の猶予を受ける
換価の猶予とは、住民税を分割で返済する制度であり、以下の条件を満たせば納税の猶予が利用できない方でも申請することができます。
- 生活の維持が困難である
- 納税の意思がある
- 滞納金と同等以上の財産所持
- 猶予を受けても納税が困難
換価の猶予は納税猶予よりも審査のハードルが低いです、
また、納税猶予と併用することで最大4年間の猶予を受けることが可能です。
しかし、猶予制度の申請は滞納している住民税の支払期日から、半年以内にする必要があります。
納税猶予が利用できない場合は、期日を確認した上で、換価の猶予を申請しましょう!
生活保護を受ける
また、生活保護制度を利用すれば住民票の支払が免除されます。
生活保護制度を利用するメリットとデメリットとしては、以下などを挙げることができます。
生活保護のメリット |
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生活保護のデメリット |
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生活保護の受給資格については、厚生労働省のホームページなどを参考にすると良いでしょう。
どうしても生活が苦しい場合は、生活保護の利用を検討しましょう!
債務整理を受ける
債務整理をしても、住民税の減額や免除を受けることはできません。
しかし、借金のために住民税の納付が難しい場合は以下などの債務整理によって、借金を減額またはゼロにできる可能性があります。
- 任意整理
- 個人再生
- 自己破産
弁護士や司法書士に依頼すれば、面倒な手続きをする必要もありません。
昨今では、相談料を無料にしている事務所なども増えています。
借金で住民税の納付が難しい方は、法テラスなどへ相談しにいきましょう!
税理士・役所窓口・弁護士へ相談にいこう!
ここまで、住民税を払えないとどうなるかについてを中心に解説してきました。
このページの内容をまとめると、以下の通りになります。
- 自営業者などは自分で住民税を納める必要がある
- 住民税の納付を拒み続けると、催促・催告状の送付の後に差し押さえがおこなわれる
- 住民税を滞納すると、延滞金が課されるだけではなく、社会的にも影響が及ぶ
- 住民税が払えない時は、納税・換価の猶予制度を利用しよう!
- 生活が苦しい場合は、生活保護の利用も検討しよう!
住民税は人によって相談するべき機関が異なります。
「住民税を安くしたい!」という方は税理士事務所へ相談にいき、控除や保険などについてアドバイスを貰うと良いでしょう。
「住民税の支払が難しい!」という方は、役所窓口にて猶予制度について相談をすることをおすすめします。
「生活が苦しくて住民税が払えない!」という方は、弁護士や司法書士事務所へいって破産について相談すると良いでしょう。