慰謝料を払わないとどうなる?差押までの流れと対処法を完全解説!

慰謝料を払わないとどうなる?

DV(家庭内暴力)や不倫などで離婚に至った場合は、相手方から慰謝料を請求される可能性が高いです。

しかし、慰謝料に数百万を請求される場合もあり、できるなら払いたくないと思う人がほとんどでしょう。

では慰謝料を払わないとどうなるのでしょうか。

結論から言うと、催告を受けた後に裁判や財産の差し押さえを受けることになります。

このページでは、慰謝料を払わないとどうなるか・慰謝料を払わなくてもよいケースなどを解説していきます。

また、慰謝料が払えない場合どうすればいいかも解説するので、そちらも参考にしてください。

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慰謝料を払わないとどうなるか

冒頭でも説明した通り、離婚時に合意した慰謝料の支払いを拒み続けると、以下の流れで財産の差し押さえを受けます。

  1. メールなどで催告を受ける
  2. 催告書が届く
  3. 裁判で訴えられる
  4. 差し押さえを受ける

詳しくは次から見ていきましょう。

メールなどで催告を受ける

慰謝料の未納が続くと、まずはメールや手紙・電話などで慰謝料を支払うように催告を受けるでしょう。

その際は、誰から届いたかを必ずチェックしてください。

元パートナーである可能性が一番高いですが、弁護士がメールや手紙を送ってきている場合は注意が必要です。

催告の段階で元パートナーが弁護士を立てている場合は、今後訴えられる確率がかなり高いためです。

仮に裁判になれば、多くの遅延損害金(慰謝料の利息にあたるもの)や、元パートナーがかけた裁判費用も払う必要があります。

そのため、なるべくこの段階で慰謝料を払うか、相手方と話し合うことをおすすめします。

催告書が届く

メールや手紙で催告を受けても慰謝料を支払わなければ、内容証明郵便で催告書が届きます。※

※弁護士によっては、電話やメールなどの催告を飛ばして最初から催告書を送ってくる可能性があります。

催告書自体に法的拘束力はありませんが、催告書が届くと以下などの影響が出ます。

  • 催促に応じなかった証拠になる
  • 時効が中断される

また、催告書には慰謝料の支払いがない場合、法的措置(裁判)に移行する旨が記載されています。

催告書を無視して裁判になると、非常に不利な状況で戦わなければなりません。

そのため、催告書が届いた時点で慰謝料を払うか、相手方と連絡をとることを強くおすすめします。

裁判で訴えられる

催告書が届いても連絡をせずに、慰謝料を払わなければ訴えられることになるでしょう。

裁判で訴えられると、裁判所から訴えられた旨と相手方の訴状が送られてきます。

そのため、まずは訴状の内容を確認しましょう。

訴状の内容が事実と反する場合は、こちらも弁護士を立てて裁判に出向くことをおすすめします。

一方、訴状も確認せず裁判にも出廷しない場合は相手方の訴えが100%認められます。

法外な慰謝料を請求をされていても、払わなければなりません。

そのため、裁判所から書類が届いたら必ず確認することをおすすめします。

差押を受ける

裁判所に出廷しなかった場合や、和解がまとまらなかった場合などは、財産の差し押さえを受けることになります。

差し押さえられる財産としては以下などを挙げることができます。

  • 預貯金
  • 給与の一部
  • 家や土地、車などの資産
  • その他換金が可能なもの

特に預貯金と給与の一部に関しては、まとまった金額が回収できる可能性が高いため、早い段階で差し押さえを受けることになります。

また、預貯金に関しては給与と違い、差し押さえの上限がないため、慰謝料が高額であれば全額を失うケースも考えられます。

加えて、給与の差し押さえが決定すると裁判所から勤務先に連絡がいきます。

この段階に至ると、会社に慰謝料のことを隠すのは不可能です。

そのため、和解がまとまらなかった段階で、勤務先に相談をしておくことをおすすめします。

慰謝料を払わなくてよいケース

ここまでは、慰謝料を払わないとどうなるかについて解説してきました。

しかし、以下などの場合はそもそも慰謝料を払う必要がありません。

  • 性格の不一致などで離婚した
  • 不貞行為の発覚から3年が経過した
  • 不倫の証拠がない

詳しくは次から見ていきましょう。

性格の不一致などで離婚した

そもそも慰謝料とは、精神的苦痛をあたえた損害金にあたるものです。

そのため以下などが原因で離婚した場合は、特段の精神的苦痛は認められず、慰謝料を払う必要がありません。

  • 性格の不一致
  • 義実家との不和

一方、以下などを根拠に請求された場合は、慰謝料を払う必要があります。

  • 不倫
  • DV
  • モラルハラスメント
  • 一方的な婚約破棄

相手方から慰謝料を請求されたら、まずは請求している根拠を確認しましょう。

不倫の証拠がない

また、不倫が原因で慰謝料の請求をするためには以下などの証拠が必要です。

  • 不倫現場の写真
  • 録音・録画されたデータ
  • クレジットカードやICカードの利用明細
  • メールや手紙
  • SNSやブログ
  • 手帳・日記・メモ
  • 子どもの血液型
  • GPSの記録
  • 妊娠・堕胎を証明できるもの
  • 住民票の写し
  • 興信所や探偵の調査報告書

一方、以下などは不倫の証拠になりません。

  • デジタルカメラやスマートフォンの画像
  • 撮影日時・場所が明らかではないスクリーンショットの画像
  • 相手方の証言
  • 盗撮や不法侵入をして得た証拠
  • 風俗店のレシートや名刺

そのため、相手方から慰謝料を請求されたら、証拠を見せてくれと伝えましょう。

離婚から3年が経過した

また、慰謝料は3年の時効が設定されています。

そのため、離婚成立から3年経過した時点で、内容証明郵便が届いているなどがなければ慰謝料は時効によって消滅します。

ただし、不倫があった場合は相手が不倫を知ってから、時効のカウントが始まります。

不倫が原因で慰謝料を請求された場合は、根拠にしている時期をチェックしましょう。

慰謝料が払えない場合どうすればいいか

慰謝料が払えない場合は、以下などの方法を採ると良いでしょう。

  • 減額交渉をする
  • 分割払いの交渉をする
  • 自己破産をする

コツや流れなどは次から見ていきましょう。

減額交渉をする

慰謝料を減額するように交渉する際は、以下の流れに沿っておこないましょう。

  1. 慰謝料請求の根拠を確認する
  2. 請求額が相場内か確認する
  3. 支払えない理由を具体的に説明する

まずは、慰謝料請求の根拠や理由を確認しましょう。

先ほど説明した通り、請求には正当な根拠と理由が必要です。

もし根拠や理由がこのページで挙げたような妥当なものであれば、次は請求額が相場の範囲内かチェックしましょう。

慰謝料の相場は以下の通りです。

  • 婚約破棄 30~200万円
  • 不倫・浮気 50~300万円

相手方が弁護士を立てていない場合などは、感情に任せて数千万円以上の慰謝料を請求しているケースは多いです。

そういった場合は、判例などを見せながら相場に合った額にするよう、交渉しましょう。

最後に請求額を支払えない理由を、具体的に説明する必要があります。

その際は、いくらなら払えるのかを提示すると共に給与明細や公共料金の明細など、現在の経済状況を証明できる書類を見せると効果的です。

分割払いの交渉をする

また、減額交渉が失敗した際は、分割での支払いを交渉すると良いでしょう。

分割での支払いを交渉をする際は以下の点を伝えると、主張が通りやすいです。

  • 分割払い計画や支払に送れた場合の措置を公正証書にまとめる旨
  • 一括で払える資産や財産がない
  • 分割でなら払う意思がある
  • 分割払いが難しい場合は、自己破産を検討している

特に、公正証書を作成することを伝えるのは効果的です。

公正証書を作成することで相手方の「滞納されるのではないか」という不安を解消させることができるためです。

加えて、交渉が失敗に終わったら自己破産を検討している旨を伝えるのもおすすめです。

自己破産をすれば場合によっては慰謝料が免除されます。

慰謝料がゼロになるぐらいだったら、という考えから分割での支払いに応じる可能性は高いと言えるでしょう。

慰謝料の請求を受けたからといって、全て相手の言い分を聞く必要はありません。

自身の財産を守るためにも、積極的に交渉をすることをおすすめします。

自己破産をする

どうしても慰謝料が払えない場合は自己破産をするのも一つの手です。

自己破産の際に裁判官が、慰謝料の発生原因に悪質性がないと判断すれば、慰謝料の支払は免除されます。

しかし、悪質性の判断は裁判官の裁量によるため、免除されないケースも相当数あります。

そのため、慰謝料の請求を免れるために自己破産をする際は、弁護士に相談することを強くおすすめします。

まずは弁護士に相談しよう!

ここまで、慰謝料を払わないとどうなるか・慰謝料を払わなくてよいケース・慰謝料が払えない場合どうすればいいかを解説してきました。

このページの内容をまとめると、以下の通りになります。

  • 慰謝料を払わないと、催告が来た後に裁判で訴えられる可能性がある
  • 和解がまとまらなかったり、裁判に出なかった場合は財産の差し押さえを受ける
  • 3年の時効が成立している・不倫の証拠がない・自己に非がない理由で離婚した場合などは、慰謝料を払う必要はない
  • 慰謝料が払えない場合は、減額・分割払いの交渉をしよう
  • 請求の根拠によっては、自己破産することで慰謝料の支払が免除される

慰謝料の額や支払いの時期に関しては、交渉によって大きく変えることができます。

そのため、慰謝料を請求された場合は交渉と法律のプロフェッショナルである弁護士に相談することをおすすめします。

まずは、法テラスや無料相談を受け付けている法律事務所などに問い合わせてみましょう!

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