家の近くで公共下水道が整備されると、下水道受益者負担金を求められることがあります。
急に数万円の請求が届き、驚いた方もいるでしょう。
では下水道受益者負担金の支払を拒み続けると、どういったことが起きるのでしょうか。
結論から言うと、負担金の未納は地方税の滞納とみなされ、最終的に財産の差し押さえを受ける可能性があります。
このページでは、下水道受益者負担金とは何か・負担金を払わないとどうなるかなどを中心に解説していきます。
また、下水道受益者負担金を払うメリットや、払いたくない場合にどうすればよいのかなども解説するので、そちらも参考にしてください。
下水道受益者負担金とは何か
最初に下水道受益者負担金について、以下などの基本的なことを解説していきます。
- 下水道整備の費用がなぜ請求されるか
- 受益者とは誰か?
- 負担金の額はいくらか?
- 前所有者の負担金は払う必要があるか
詳しくは次から見ていきましょう。
下水道の負担をなぜ求められるのか?
下水道の整備は国や地方の公共事業だから、費用を個人に負担させるのは納得がいかない。
そう思う方も多いでしょう。
しかし以下などの理由から、個人に費用を負担させる下水道受益者負担金制度が採用されています。
- 下水道整備により特定の地域について環境が改善され、利便性や快適性が向上する
- 下水道整備により特定の地域の資産価値が増加する
- 下水道整備の利益を受ける人の範囲が明確である
また、下水道受益者負担金は多くの市区町村が条例で定めたものであり、基本的に支払いを拒めるものではありません。
どうしても払いたくない場合は、負担金の廃止を公約に挙げている候補者に投票して、条例を改正させましょう。
受益者は原則土地の所有者!
下水道受益者負担金の受益者とは原則土地の所有者のことを指します。
しかし、土地が貸されている場合は、基本的に土地を借りている人が負担金を払うことになります。
また地方自治体によっては、土地が農地として利用されている場合は、負担金の徴収が猶予されます。
そのため土地を宅地と農地に分けている場合は、市区町村役場に相談することで、農地分の負担金を減らせる可能性があります。
負担金の対象になっている土地に誤りがある場合は、市区町村役場へ相談しにいきましょう!
負担金は1平米辺り約431円!
負担金は地方自治体によって異なります。
平均的には1平米辺り431円の負担が課されます。
負担金を一度に納付する必要はありませんが、多くの自治体は一括納付による割引制度を導入しています。
少しでも負担金を抑えたい!という方は一括納付も検討しましょう!
前所有書の負担金は払わなくてよい!
また、前の所有者が負担金を未納していた場合は、未納分も併せて負担金を納付しなければならないのでしょうか。
結論から言うと、新たな所有者が未納分の負担金を払う必要はありません。
しかし、土地の前所有者の特定は多くの手続きが必要なことから、役所職員から「前所有者の負担金も払って欲しい」と要請されるケースは多いです。
そういった場合は、根拠となる条例を指して、支払う義務はないため払わないと伝えることをおすすめします!
下水道受益者負担金を払わないと差し押さえを受ける!
冒頭でも説明した通り、下水道受益者負担金の納付を拒み続けると、以下の流れで財産の差し押さえを受ける可能性があります。
- 督促状が届く
- 電話や訪問などで催告される
- 受益者の調査が実施される
- 差し押さえが実行される
詳しくは次から見ていきましょう。
督促状が届く
下水道受益者負担金の納付期限から20日程度が経過すると、地方自治体から督促状が送付されます。
督促状には以下のことが記載されています。
- 納付義務があること
- 新しい納付期限
- 納付期限内に払い込みがなかった場合、差し押さえを実行する旨
また、この督促状は法的拘束力を持っているため、督促状が届いた時点で時効は中断されます。
督促状は特別郵便で届くため「書類に気づかなかった」と言い訳することもできません。
この督促状が届いた時点で、負担金を納付することを強くおすすめします。
電話や訪問などで催告される
また督促状の期限を過ぎても負担金の納付がない場合は、電話や訪問などで支払いの催告が実施されます。
一昔前の消費者金融とは違い、プライバシーを無視した催告はおこなわれませんが、それでも家族や会社の人間に未納がバレる可能性はあります。
どうしても負担金の納付が厳しい場合は、催告された時に相談をするのも良いでしょう。
事情によっては、長い期間での分割払いが認められる可能性があります。
受益者の調査が実施される
訪問や電話などの催告でも納付がない場合は、差し押さえの前段階として、受益者の調査が実施されます。
調査される事項としては、以下などを挙げることができます。
- 住民票の内容
- 勤務先や取引先の状況
- 所得額
- 戸籍の状況
- 自動車所有の有無
- 銀行口座の残高
- 生命保険加入の有無
- 所有不動産の価値
- 債権・債務の有無
調査は、受益者の勤務先や取引先にも及びます。
労働基準法により、負担金の滞納によって解雇になることはありませんが、会社の取引状況や社内評価には影響がでる可能性があります。
また、調査と差し押さえは妨害を防止するために、受益者に通知されず実施されます。
そのため、催告がなくなったからと言って、納付が免除された訳ではないことを覚えておきましょう。
差し押さえが実行される
調査が完了した段階でも、負担金の納付がない場合は財産の差し押さえが実行されます。
差し押さえの対象物としては、以下などを挙げることができます。
- 現金預金
- 給与
- テレビや家具
- 自宅や不動産
- 自動車
- 貴金属類など換金が可能であるもの
対象物の中では、まず現金預金が最初に差し押さえられます。
なぜなら給与と違って差し押さえの制限額がないためです。
そのため、負担金が預金残高よりも多い場合は、残高の全額を失うことになります。
一方、給与に関しては全額の差し押さえを受けることはありません。
多くの場合は給与の4分の1~2分の1程度まで差し押さえを受けることになります。
また給与の一部に加えて、以下などは差し押さえの対象になりません。
- 日常生活に必要な衣服などの必需品
- 業務の遂行に必要な道具
- 家族名義の財産
差し押さえを受けると、財産は速やかに現金に変えられてしまいます。
そのため、財産の買い戻しは基本的にできないと考えた方が良いでしょう。
差し押さえを受けないためにも、負担金は必ず納付しましょう!
下水道受益者負担金を払うと地価が上がる!
ここまで、下水道受益者負担金を払わないとどうなるかについて、解説してきました。
しかし下水道の負担を求められる理由のところで解説した通り、負担金を払うことで自身が所有している土地の地価を上げることができます。
本来、地価は時代や状況によって変わりますが、下水道を整備されているという価値は今後下がることはありません。
自身の所有している地価を確実に上げるためにも、負担金の納付をおすすめします。
また、地方自治体によっては負担金を納付すると、一定のお金を受け取ることができます。
詳しくは管轄自治体のホームページを確認しましょう!
下水道受益者負担金を払いたくない場合はどうすればいいか
これまで、負担金を払わないとどうなるか・下水道受益者負担金を払うメリットなどについて解説してきました。
前に解説した通り、下水道受益者負担金は条例に基づいた請求であり、納付を拒むことは基本的にできません。
しかし対象になっている土地の面積が実際とは異なる場合などは、以下の措置を取ることをおすすめします。
- 市区町村役場に交渉しにいく
- 不服申し立てをする
詳しくは次から見ていきましょう。
市区町村役場に直接交渉する!
まずは、役場にいって負担金の計算が間違っていることを伝えましょう。
その際は、図面や写真などを持っていくことをおすすめします。
土地を宅地と農地に分けて利用している方が、役所で交渉したことで約13万5000円の減額を受けられたケースがあります。
負担金の計算に不審な点がある場合は、堂々と窓口に交渉しにいきましょう!
不服申し立てをする!
また、管轄の市区町村役場が遠い場合などは、不服の申し立てをおすすめします。
申し立てる手順などは、督促状の裏面を参考にすると良いでしょう。
不服申し立てを行うと、申し立てに対する回答や理由などを責任ある立場から聞くことができます。
場合によっては、負担金の改訂がおこなわれることもあるでしょう。
しかし、不服申し立ての期間は数十日程度と短い場合が多いため、申し立てる際はなるべく早くおこなうことをおすすめします。
【結論】下水道負担金は払った方がよい!
このページでは、下水道受益者負担金を払わないとどうなるかなどを解説してきました。
このページの内容をまとめると、以下の通りになります。
- 下水道受益者負担金は、受益者の範囲が明確であり、地価の向上が見込めるため、個人に請求される
- 負担金は原則、土地の所有者が払う必要がある
- 負担金の平均は1平米あたり約431円
- 前所有者の負担金は払う必要がない
- 負担金を払わないと最終的に財産の差し押さえを受ける
- 負担金の計算に不満がある場合は、不服申し立てや窓口での交渉をしよう!
下水道受益者負担金の納付は義務であり、払わないと財産の差し押さえを受けます。
また、負担金を納付することで、所有している土地の地価を確実に上げることができます。
以上より、下水道受益者負担金は払った方が良いと言えるでしょう。