同じ賃貸住宅に数年住んでいると、大家から更新料の支払いを求められることがあります。
更新料の相場は家賃の1~2ヶ月分ほどですが、首都圏の賃貸住宅では家賃3ヶ月分を請求されることもあり「払いたくない!」と思う人もいるでしょう。
更新料を払わなくても即刻家から追い出される心配はありませんが、滞納が続くと契約解除が求められ、最終的に大家から訴えられる可能性があります。
このページでは、更新料は払う必要があるのか・更新料を払わないとどうなるかを中心に解説していきます。
また、更新料が払えない時の対処法や、更新料以外にかかる費用・次の更新料を払わなくて済む方法についても解説するので、そちらも参考にしてください。
更新料は払う必要はあるのか
実は賃貸契約を更新する際は、更新料を払わなければならない、とする法律は存在しません。
元々更新料とは、長く住まわせてもらっているお礼という慣習が形を変えたもので、当然に請求できるものではないのです。
そのため「契約書に記載はないけれど、今まで皆が払っているから」という理由で、大家から更新料の支払いを求められた場合は、支払いを拒むことができます。
しかし契約書に更新料に関する記載があり、入居時に同意した場合は、払わなければいけません。
詳しくは次から見ていきましょう。
契約書に記載があれば払う必要がある!
前にも説明した通り、更新料の支払義務の有無は契約書によります。
多くの場合は、契約書の「契約期間・更新における定め」の項に記載があります。
大家から更新料の支払いを求められた場合は、まずは契約書を確認しましょう。
相場以上の更新料は払わなくてよい可能性がある!
繰り返しになりますが、契約書に定めがある場合は更新料を払わなければなりません。
更新料に関する裁判でも、最高裁判所は「更新料の額が、更新される期間に照らし高額に過ぎるなどの特段の事情がない限り~消費者契約法10条にて無効にすることはできない」と判断しています。
この判決は更新料の適法を認めたものですが、一方で高額な更新料であれば、契約書に記載があったとしても無効にできるという結論を導き出せます。
その上で高額な更新料の具体的な額ですが、平成23年の最高裁判例では、1年につき2ヶ月分の更新料を適法にしています。
また、平成24年の高裁判例でも、1年につき3.12ヶ月分の更新料は適法と判断されました。
以上より、1年につき4ヶ月分以上の更新料が大家から求められた場合は、消費者契約法の10条を利用して契約を無効にできる可能性があります。
高額な更新料を求められた際は、弁護士や消費者センターへの相談も検討しましょう!
更新料を払わないとどうなる?
冒頭でも触れた通り、更新料の支払いを拒み続けると、以下の流れで裁判まで発展する可能性があります。
- 更新料に関して支払いを拒否する
- 契約書を理由に支払いを求められる
- 大家から契約の解除を求められる
- 話がまとまらなければ裁判になる
次からは、契約の解除や裁判について見ていきましょう。
直ぐに建物を明け渡す必要はない!
まず、更新料を支払わなかったからといって、直ぐに建物の明け渡しを請求されることはありません。
なぜならば、賃貸人(住居を借りている人)は正当な理由がなければ、建物の明け渡しに応じる義務はないためです。
正当な理由としては以下などを挙げることができます。
- 家賃の滞納
- ペット不可物件で、ペットを飼育している
- 賃貸物件をまた貸ししている
- 住居として契約した物件を住居以外として利用している
それでも、更新料の未納が続けば退去勧告や契約解除を受ける可能性はあります。
そのため、更新料が支払えない場合は、早い段階で交渉をすることをおすすめします。
更新料の未納が続けば訴えられる可能性はある
交渉がまとまらなかった・更新料の減額や分割で合意したにも関わらず、更新料の支払いがなかった場合などは、大家から訴えられる可能性があります。
特に、更新料と併せて家賃も滞納している場合は、諸々の支払いと建物の明け渡しを同時に求められるケースが多いです。
更新料や家賃の支払いで訴えられた場合、賃借人が勝つことはまずありません。
そして裁判に負ければ、給料の一部や預貯金が差し押さえられることもあります。
そのため更新料に関しては、裁判になる前に、交渉や支払いによって決着をつけることをおすすめします。
更新料が払えない時はどうすればよい?
更新料が払えない場合は、交渉して減額させるか・お金を捻出して払うかのどちらかを採る必要があります。
具体的な方法やポイントなどは次から見ていきましょう。
大家と交渉しよう!
大家との交渉では、特に以下などの点を伝えると話がまとまる可能性が高いです。
- 支払う意思はある
- 今後も長く住みたいと思っている
- 近隣とのトラブルもない
- 今まで家賃を滞納したことがない
更新料は契約書の内容によるということは、交渉次第でいくらでも変えられるとも言えます。
交渉した結果、更新料自体が免除になる場合や、分割払いが認められるケースも少なくありません。
大家側も、入居者が少ない地域であれば、更新料が原因で優良な顧客を逃すことは避けたいと思っているでしょう。
そのため、更新料が支払いが払えない場合は、積極的に交渉することをおすすめします。
カードローンの利用も検討しよう!
交渉が失敗した場合や、減額でも払うことには同意した場合などは、速やかに更新料を支払う必要があります。
しかし減額された場合でも、まとまったお金が用意できないケースもあるでしょう。
そういった場合は、即日融資に対応している消費者金融系のカードローンからお金を借りることをおすすめします。
例えば、以下などの消費者金融系カードローンであれば、手軽に数十万円の即日融資を受けることができます。
- プロミス
- アコム
- アイフル
即日融資が受けられるおすすめの消費者金融については、以下のページを参考にすると良いでしょう。
更新月は更新料以外にもお金がかかる!
また、賃貸借契約を更新すると、更新料以外に以下などの費用がかかります。
- 家財保険などの損害保険料
- 更新事務手数料
- 保証料
- 家賃
保証料などは契約内容によって大きく額が異なりますが、諸々併せて家賃の5ヶ月分程度はかかってしまう場合が多いでしょう。
そのため、賃貸を契約する際は契約内容に必ず目を通すことを強くおすすめします。
次の更新料を払いたくない場合はどうすればよい?
ここまで、賃貸借契約の更新料について解説してきました。
賃貸借契約を更新すると多くの費用がかかることや、契約書に基づいて更新料を請求された場合は基本的に払う必要があることは、前に説明した通りです。
しかし、以下の点に注意して引っ越せば、今後更新料を払う必要はなくなります。
- 更新料がない地域に引っ越す
- 更新月の前に引っ越しを繰り返す
詳しくは次から見ていきましょう。
更新料がない地域の物件に引っ越す
そもそも更新料は首都圏や一部の近畿圏の風習が残っているに過ぎません。
そのため以下の都道府県などは更新料を設定していない物件が多いです。
- 北海道
- 青森県
- 岩手県
- 山形県
- 福島県
- 静岡県
- 岐阜県
- 愛知県
- 三重県
- 奈良県
- 大阪府
- 和歌山県
- 兵庫県
- 島根県
- 香川県
- 高知県
- 大分県
- 宮崎県
- 福岡県
- 熊本県
- 佐賀県
- 長崎県
- 鹿児島県
- 沖縄県
特に、九州や沖縄などでは更新料の文化がほとんどありません。
県外への引っ越しが可能であれば、上記の中から選ぶのも良いでしょう。
次の更新月の前に引っ越すのもおすすめ!
一方で、県外には引っ越せないという方も多いでしょう。
そういった方は、同都道府県内で、更新月が近づく度に引っ越してはいかかがでしょうか。
賃貸借契約の更新には、更新料以外にも多くに費用がかかることは前に説明した通りです。
一方、昨今では敷金1ヶ月、礼金・仲介手数料無料で部屋が借りることができます。
そのため、上手く不動産屋と地域を選んで引っ越せば、更新するよりも出費が抑えられる可能性は十分にあります。
しかし、更新月の前に引っ越しをする場合は、解約申請をする時期に注意が必要です。
なぜならば、通常の賃貸借契約は退去の1~2ヶ月前に解約の申請をしなければなりません。
そのため、更新月ギリギリに解約の申請を行うと、引っ越しの費用+更新料がかかることになります。
更新料を避けるために引っ越しをする場合は、更新月をしっかりチェックしておきましょう!
まずは契約書をチェックしよう!
ここまで、更新料を払う必要があるのか・更新料が払えないとどうなるか、などを中心に解説してきました。
このページの内容をまとめると、以下の通りになります。
- 契約書に記載があれば、更新料は払う必要がある
- 更新料自体は適法だが、家賃4ヶ月分以上の更新料は無効にできる可能性がある
- 更新料を払えなくなても、すぐに建物を明け渡す必要はない
- 更新料の未納が長期間続くと、大家から訴えられる可能性がある
- 更新料が払えない場合は、大家と交渉しよう
- 更新料の支払いが難しい場合は、カードローンからお金を借りることも検討しよう
- 契約を更新すると更新料以外にも多くの費用がかかる
- 今後に更新料を払いたくない場合は、更新料のない地域に引っ越すのがおすすめ
- 県外に引っ越せない場合でも、更新月が近づく度に引っ越でば更新料はかからない
更新料に関して、法律の規定はありませんが、正当な契約に基づいている場合は更新料は払わなければなりません。
まずは、更新料に関して契約書をチェックするところから始めましょう!