2019年7月21日の参議院選挙で、NHKから国民を守る党は議席を獲得し、党首の立花孝志氏が政界へ進出しました。
また、東横インが19億円の受信料支払を命じられるなど、昨今はNHK受信料に関して活発に議論が交わされています。
そのため「NHKの受信料は払う必要があるのか」「受信料を払わないとどうなるか」などが気になる方は多いでしょう。
結論から言うとNHKを受信できるテレビやワンセグ・カーナビを持っている以上、NHKと契約する必要があり、受信料を払わなければなりません。
このページでは、NHKの受信料を払わないとどうなるか・NHKの受信料を払っていない人はどうすればよいかなどを解説していきます。
また、NHKの受信料を払った方がよい理由なども解説するので、そちらも参考にしてください。
NHKの受信料を払わないと裁判・差押までに発展する!
冒頭でも説明した通り、NHKの番組が受信できる設備を持っている以上、放送法第64条1項よりNHKと契約しなければなりません。
「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」(64条1項本文)
そして、放送受信規約の第5条(NHKとの契約)により、消費者には受信料の支払義務が課せられます。
※日本放送協会放送受信規約より引用
以上のように、NHKの受信料の支払いは法律と契約に基づいているため、受信料を払わないと裁判や差押えに発展します。
NHKから訴えられるまでの流れ
NHKから訴えられるまでの流れは以下の通りです。
- ①NHKから請求書が届く
- ②訪問で受信料の支払が求められる
- ③NHKから督促状が届く
- ④NHKから訴えられる
詳しくは次から見ていきましょう。
①NHKから請求書が届く
まず、NHKと契約をした後、以下の条件を満たすとNHKから請求書が届きます。
- 受信料の払込期限までにお金を払わなかった
- 受信料の引き落とし日に十分な残高がなかった
NHKの受信料支払に関しては、クレジットカードの自動引き落としと口座振込を選ぶことができます。
自動引き落としを選択すると、最大600円程度安くなるのでおすすめです。
②訪問で受信料の支払が求められる
請求書には払込期限が設定されており、期限を過ぎても受信料の払込がなかった場合は、スタッフが受信料の支払を求めてきます。
しかし、昨今では支払をもとめるスタッフの行動が問題になっています。
以下などに該当する場合は、警察を呼んだ方が良いでしょう。
- 深夜に何度もインターホンを鳴らす
- 強くドアを叩いたり、大声で住民の名前を呼ぶ
- ドアと玄関の間に足を挟んで強制的に話をしてくる
- テレビがないことを確認させて欲しいなどと言って、部屋に入ってくる
③NHKから督促状が届く
スタッフの訪問後も受信料の支払いがなかった場合、裁判所から督促状が届きます。
督促状には以下のことが記載されています。
- 払う必要がある受信料の総額
- 払込先の口座
- 払込がなかった場合、財産を差し押さえる旨
④NHKから訴えられる
督促状の提出から一定期間が経過しても受信料の支払いがない場合は、NHKから訴えられ、裁判に発展します。
過去の裁判例を見る限り、NHKから訴えられるとほぼ100%裁判に負けて受信料の支払いを求められるでしょう。
差押えを受けるまでの流れ
先ほども説明した通り、NHKから訴えられると裁判に負けて受信料の支払いを求められます。
それでも受信料の支払いを拒み続けると、以下の流れに沿って給与や家などの財産が差押えられます。
- ①国から督促状が届く
- ②財産の調査が実施される
- ③財産が差押えられる
詳しくは次から見ていきましょう。
①国から督促状が届く
裁判で決められた返済期日を超えても、受信料の支払いがない場合は再度督促状が届きます。
ただしこの段階で届く督促状は、裁判前に郵送されるNHKからの督促状とは違い、法的拘束力を持った国からの書類です。
国からの督促状を2週間以上無視し続けると、裁判所は仮執行宣言をおこない、契約者の財産を差し押さえる準備に入ります。
そのため国から督促状が届いたら、2週間以内に受信料を払うことをおすすめします。
②財産の調査が実施される
督促状の送付から2週間が経過すると、財産調査が実施されます。
差押えられる財産には給与の一部も入るため、この段階で会社にNHKの受信料が滞納していることがバレます。
会社員は労働基準法にて雇用が保障されており、受信料の滞納で会社をクビになることはありませんが、社内評価への影響は避けられません。
裁判で決められた返済期日をしっかりと守って返済をしましょう。
③財産が差押えられる
財産調査が終了した段階で、受信料の支払いがない場合は、財産の差押えが実施されます。
以下に差押えの対象にならない財産となる財産などをまとめました。
【差押えの対象にならない財産】
- 実印
- 1ヶ月分の食料
- 調理器具
- 仏壇・位牌
- 生活に必要な家電・家具
【差押えの対象になる財産】
- 給料の4分の1
- 銀行預金の満額
- 自動車(日常生活に支障がない場合のみ)
- 66万円以下の現金
特に銀行預金は給料と違い、満額差し押さえることができるため、早い段階で下せなくなる可能性が高いです。
また、財産隠しを防ぐため、財産の差押えは契約者に通知されることなく実施されます。
そのため、ある日車にストッパーが掛かっていた・給与の一部がなくなっていたというケースが簡単に起こり得ます。
そして財産が差し押さえられると速やかにオークションにかけられるため、取り戻すのは難しいです。
手元に残したい財産がある場合は、差し押さえを受ける前に、NHKの受信料を払いましょう!
現在NHKの受信料を払ってない場合の対処法
現在NHKの受信料を払ってない場合の対処法としては、以下などが挙げられます。
- NHKを解約する
- NHKの受信料を払う
詳しくは次から見ていきましょう。
NHKを解約する
NHKの受信料はテレビの設置時から現在までさかのぼって請求されます。
そのため、少しでも払う受信料を減らすためにNHKを解約することをおすすめします。
NHKを解約する流れは以下の通りです。
- 受信設備を完全に撤去する
- NHKのフリーダイヤルに電話をかける
- 解約届の用紙を提出する
- NHKの審査後、解約が成立する
受信設備はテレビはもちろん、ワンセグ機能が利用できる携帯電話やスマートフォン、カーナビも対象に入ります。
加えて、テレビアンテナの撤去も必要になる点も注意が必要です。
過去に、NHKだけが受信できないテレビが販売されたこともありましたが、このテレビに変えただけでは解約の条件に当てはまりません。
撤去後はNHKのフリーダイヤルに以下の点を伝えましょう。
- 受信設備が完全に撤去されている
- 解約届の用紙を希望している
また受信設備を撤去した際のリサイクル券や、廃棄証明書・買い取り証明書がある旨を伝えれば、話がスムーズに運びます。
電話にて解約の了承が得られれば、解約届が後日郵送されてきます。
解約届には以下の次項を記入する必要があります。
- 契約者名
- 契約者の住所
- 受信機器の数
- 解約の理由
- 契約者の署名
- 今後の受信機器の設置予定
解約届を返送する際は、受信設備を撤去した証明書の写しを同封しておきましょう。
解約届がNHKに届くと、解約の審査が行われます。
そのまま解約が成立することもありますが、場合によっては電話や訪問による確認作業が必要になります。
そのため、解約届の提出後は電話を取れるようにしておくと良いでしょう。
NHKの受信料を払う
2020年現在、確実にNHKの受信料を払わなくて済む方法はありません。
そのため、受信設備を撤去できない場合や撤去するまでに発生する受信料は、諦めて払う必要があります。
しかし事情によっては、分割払いでの支払いが認められます。
今手元にお金がない!という方はNHKに相談すると良いでしょう。
NHKの受信料は払った方が良い理由
昨今では「NHKの受信料は払わなくてもよい」と主張する意見も数多く見られます。
しかし、少なくとも現段階では以下の理由で、NHKの受信料は払った方が良いと言えます。
・受信料支払の時効は使えない可能性が高い
・受信料はテレビを設置した時からさかのぼって請求される
詳しくは次から見ていきましょう。
受信料支払の時効は使えない可能性が高い
NHKの受信料は5年の時効が設定されています。
つまり、受信設備の設置から5年が経過しても督促状が届かなければ、受信料を支払う義務は消滅します。
しかし、NHKは未納者の状況はマメに確認しており、5年ギリギリで督促状を送ってくるパターンが多いです。
督促状が送られてくると、5年の時効はまた0になります。
NHKの支払を5年間逃げ切ることは困難であるため、受信料は払った方が良いと言えます。
受信料はテレビを設置した時からさかのぼって請求される
また、受信料はテレビ設置時からさかのぼって請求されます。
つまり裁判になったのが1年前であっても、テレビが設置したのが5年前であれば、5年分の受信料が請求されます。
さらに、裁判になった場合は遅延損害金(払込が遅れた分のお金)も合わせて請求される可能性があります。
受信料を5年滞納すると、一度に10万円前後の請求がなされます。
そのため、一度に多額の請求を避ける意味でも、受信料は払っておいた方が良いでしょう。
法改正によって受信料の支払い義務がなくなる可能性はある
現在の法律では、NHKを見ていなくても設備があれば受信料を払わなければなりません。
さらに、受信料の支払は義務にも拘わらず、税金の控除を受けることもできません。
しかし、昨今この法律を改正しようとする動きが活発化しています。
放送法が改正されれば、受信料の支払義務はなくなります。
NHKから国民を守る党が議席を獲得したこともあり、今後法改正される可能性は十分にあります。
NHKの受信料制度について、思うところがある方は、今後の動向をチェックしておくと良いでしょう。
【2020年6月】受信料の支払いを争った裁判で利用者側が勝訴した!
以前よりNHKの番組が映らなくなるフィルターは販売されていました。
「フィルターをつければNHKの番組は受信できなくなるため、契約義務は発生しない」とするのが販売者の主張でしたが「フイルター自体は簡単に取り外しができるため、契約と受信料の支払い義務は発生する」というNHKの主張が認められてきました。
しかし2020年6月26日の裁判では「増幅器を設置しなければNHKを受信できず、簡単にNHKが見られるテレビではない」と判断され、契約義務はないとの判決が下されました。
受信料をめぐる裁判でNHK側が敗訴したのは初めてであり、今後の受信料問題に大きな影響が出うでしょう。
しかし上記の判決が下されたのは地方裁判所であり、NHK側が控訴をして最高裁判所で「NHKが映らない場合でも契約義務は発生する」と判断されれば、今までと変わらず受信料の支払い義務が発生します。
そのため「裁判でNHKが負けたから受信料は払わない!」と考えるのではなく、今後の裁判の動向を見守ってから、受信料の支払いを判断することをおすすめします。
インターネット配信でNHKの受信料を取られる可能性がある
2020年3月にはNHKの放送をインターネットで配信できるようにする放送法改正案が閣議決定されました。
そのため、今後はインターネット回線があるだけで受信料の支払い義務が発生する可能性があります。
現在の受信料の徴収体制に疑問を持っている人は多く、簡単に実現されるとは考えづらいですが、テレビからの徴収ができなくなればNHK側も本腰を入れてネット徴収に乗り出すでしょう。
NHKが映らなくなるテレビと併せて今後の動向をチェックしておきましょう。
【結論】今のところ受信料は払っておいた方がよい
このページではNHKの受信料を支払わないとどうなるかについて、解説してきました。
地方裁判所のレベルでは受信料の支払い義務がないことを認める判決が出ていますが、最高裁判所の判断が出なければ確実なことは言えません。
現段階では、NHKの受信料は払っておいた方が良いと言えるでしょう。