カードローンのカードローン利用中に「もう少し限度額が多ければいいのに」と思ったときは、公式サイトや電話で増額を申し込むことが出来ます。
ただし、誰でも利用枠引き上げを認めてもらえるとは限りません。利用者属性・返済実績について、新規契約時からの変化を中心に「増額審査」が行われているからです。
増額審査をクリアしてカードローンをもっと便利に使いたい人へ、審査の最低条件・審査中よく見られるポイントについて紹介します。
カードローンの利用枠増額をおすすめする理由
取引中のカードローンとの契約をそのまま残し、今の利用限度額よりも多い金額をキャッシングする方法には2つあります。
そのひとつが「他社への新規申込」・もうひとつが「取引中のカードローンへの増額申込」です。
これらのうち増額申込をおすすめするのは、カードローンの“お得意様”という立場を利用し、お得かつ迅速に借入できることが理由です。
より分かりやすく、増額に成功した場合のメリットを2つ紹介します。
金利が低くなる
利用枠を増額してもらう真のメリットは「増額とセットで契約金利を引き下げてもらえる可能性がある」という点です。
その背景となっているのが、融資額ごとに設けられている法定上限金利の存在です。
融資額(カードローンの場合は利用限度額)が低いうちは法定上限金利が高いものの、増額によって一定額を超えるごとに、以下のように引き下げられていくのです。
利用限度額 | 法定条件金利 |
10万円未満 | 20% |
10~100万円未満 | 18% |
100万円以上 | 15% |
カードローンの一般的な契約条件として、利用限度額80万円/契約金利18%の例で考えてみましょう。
本契約で取引している人が「一括で100万円借りたいので増枠して欲しい」と申し出て認められたときは、法定上限金利が一段階切り下げられ、3%以上年利が安くなるのです。
以上のような利点に着目し、借入ではなく金利引き下げそのものを目的として増額申込するカードローン利用テクニックも広く知られています。
追加の借入がすぐできる
増額可否はあくまでも審査の上で判断されますが、追加借入したい人にとって最も気になるのは「審査時間」の問題ではないでしょうか。しかし、心配には及びません。
すでに利用している人が限度額を引き上げようとする場合、新規申込時に比べて短時間(即日~3日程度)で審査結果が判明し、結果が分かり次第ほぼ即時で利用限度額に反映されます。
これほど早いのは、新たに申込書や身分証明書を提出する必要がなく、登録済の利用者情報をもとに速やかに担当部門で審査を始めてもらえるからです。
一方で、他社カードローンへ新規申込した場合はどうでしょうか。
カードローンのほとんどが即日審査・即日融資への対応を強みとしていますが、これはあくまでも最短時間に過ぎません。
混雑具合・郵送時間・書類処理の遅れなどを理由に、1週間から2週間ほどキャッシング利用開始まで待たされる可能性は否めないのです。
安定的に数日程度で追加借入に至る、審査時間を短くする工夫を積極的にこらす必要はありません。
「急ぎで借りたい」というニーズは、すでに利用しているカードローンだけで満たせます。
新規申込より属性が悪くならない
現在利用しているカードローンの増額審査に通れば、新規のカードローンを契約する必要はなく、借入件数を増やさずに済みます。
カードローンの借入件数はカーローンや住宅ローンの重要な審査基準になり、特に4件以上他社借入があると多重債務者として扱われ、審査に通らなくなります。
現在利用しているカードローンがあれば、他社と新規契約をする前に増額の審査が受けられないか検討しましょう!
新規申込より返済額を抑えられる
複数のカードローン会社を利用していると、利用している数だけ金利を払う必要があります。
また、カードローンによっては年会費が設定されているものもあり、カードローンの借入件数を増やすことは基本的にデメリットが多いと言えます。
そのため今より多くの額を借りたい!という方はまず増額審査を検討しましょう!
新規申込より高額を借りられる
増額審査をおすすめできる理由の一つとして、新規申し込みよりも高額の融資が受けれる点が挙げられます。
なぜなら、多くのカードローン会社は新規申し込み者に利用額の上限を設定しており、どんなに属性が良くても50万円、場合によっては10~30万円程度を利用限度額にされるためです。
一方、増額審査であれば自身の属性に見合った額を利用限度額に設定してもらえます。
現在の属性を確認した上で、増額審査を受けましょう!
カードローンの増額審査に通る条件
利用枠引き上げに審査が必要なのは既に述べた通りですが、それ以前に「増額申込に対応してもらうための最低条件」があります。
審査通過のポイントを押さえる前に、まずは一度申込条件を満たしているか振り返ってみましょう。
新規契約から一定期間経過している
第一の増額の条件は、新規契約から6ヵ月~1年以上経過していることです。少なくとも、契約直後に増額審査を申し込むことが出来ません。
利用者として優良かどうか(あるいは契約直後からどう変化したのか)を判断するための材料に不足するからです
カードローンにより増額対応できる時期は異なるため、公式サイトで確認するか、担当者に直接質問してみましょう。
取引実績が1回以上ある
増額審査の対象のひとつであり、重視されるポイントとして「自社での取引実績」があります。
そこで、新規契約から増額申込までのあいだ、最低でも1回以上の借入と返済のサイクルを行った実績が必要とされています。
少なくとも、契約後一度も利用せずに「まとまった額を使いたいから増額してほしい」と申告することは出来ません。
ほとんどの人が新規契約直後に融資を受けていると考えられますが、念のため本条件を押さえておきましょう。
収入証明書を提出できる
増額申込時に書類作成・本人確認書提出は不要ですが、唯一「収入証明書の提出」はほぼ必須となる点に要注意です。
借りすぎ防止のため、融資額を変更するときは年収確認の上で審査すべきと業界でルール化されているからです。
収入証明書として提出できるもの
収入証明書として提出できるものは、新規申込時に指定された種類と同じです。
以下いずれか直近のものを準備できるか、カードローンへ増額を申し出る前に確認してみましょう。
- 源泉徴収票
- 住民税決定通知書
- 給与明細(直近3ヵ月分)
- 確定申告書
- 所得証明書
収入証明書を提出せずに契約した人(希望限度額50万円以下で申し込んだ人など)は、一度担当者に確認を取ってみるのがベストです。
カードローンの増額審査に通る5つのポイント
カードローンでの増額審査で最もよく見られているのは、先で少し触れた「自社での取引実績」と「契約時からの年収・申込者属性の変化」の2つです。
加えて、改めて信用情報が照会されてローン利用状況をチェックされる点も見逃せません。
増額申込の準備が整ったら、審査結果を左右する重要な5つのポイントを押さえておきましょう。
年収を上げる
契約時からの変化のひとつとして注目されるのが「申込者の年収」です。
総量規制(借りすぎ防止のため融資上限額を年収の1/3とする法律)があるため、昇給・昇進により年収が増えていれば有利に働きます。
反対に、収入が減っている状態で増額を申し込むと、返済計画の乱れが心配されて審査上不利になることは否めません。
年収が新規契約時とほとんど変わっていない場合は、ほかの審査項目(以下ポイント2~4)へと判断基準の中心が移ります。
勤続年数を延ばす
次に審査上注目される点は、新規契約以降の転職の有無です。
転職している場合、転職先での勤続年数1年以上は確保すべきでしょう。
1年未満と勤務期間がまだ短い場合、所属を変えた結果年収が上がっていたとしても「収入や勤務状況がまだ安定しない」として不利になる可能性があります。
ただし、転職したばかりだからといって「増額できない」というわけではありません。
他の審査上注目されるポイントと組み合わせて、あくまでも総合的に増額可否の判断が下されているからです。
入念な振り返りと準備をしておけば、無事に利用枠引き上げに成功する望みは十分あります。
属性を改善する
3点目に注目されるのが「申込者属性の変化」です。
申込者属性とは、居住形態・家族構成・年齢などの利用者のプロフィールを構成する様々な要素が含まれています。
属性は家計収支と連動しており、ひいては可処分所得(=収入全体のうち返済に充てられる部分)の増減に影響すると審査担当者は考えます。
具体的には「賃貸アパートから実家に戻った」「子どもが独立して世帯人数が減った」といった要素は、可処分所得を増やすため審査上有利になります。
反対に「住宅ローンを組んで多額の残債がある」「利用者以外に自力で収入を得ている世帯構成員がいなくなった」という事情は、返済が不安定になるリスクがあるため不利に働くでしょう。
これらもあくまでも総合的に判断される要素となるため、他の項目でしっかりと対策がとれていれば、過剰に心配する必要はありません。
優良顧客の実績を得る
本章で紹介する審査のポイントで最も重要なのが「自社での取引実績」です。
増額を認める条件として、最低限「これまで約束通り返済できていること」が求められます。かつ借入と完済のサイクルをより多くこなしているほど審査上有利となります。
反対に、増額申込先で滞納経験があると、ただの1回でも著しく審査上不利になります。
長期間契約しているのに借入をほとんどしていなかったり、完済実績が全くなかったりしても、審査担当者によい印象を与えることが出来ません。
申込前に取引経験を振り返り、追加借入したい時期までにゆとりがあれば完済実績を新たに作っておくと良いでしょう。
他の金融機関でも優良顧客と見なされている
他のポイントと並んで重要なのが「新規契約以降の他社との取引実績」です。
信用情報は与信審査の度に照会されており、増額するときも新規契約時と同様に信用情報の確認を行います。
その目的は、最近の他社ローンの利用状況・取引実績をチェックすることです。
この際、自社だけでなく他社ローンもきちんと返済できており、新規契約数もごく自然な範囲内であることが、増額審査に通るための条件とされています。
一方で「滞納歴がある」「任意整理している」「カードローンを含む無担保ローンの契約数や利用限度額が多い」といった状況は、増額に不利に働きます。
他カードローンとの新規契約or増額に注意
増額審査でのありがちな失敗として、他のカードローンとの新規契約または増額のあとに申し込んでしまう例が挙げられるでしょう。
失敗の理由1:総量規制(貸金業の融資制限)
本規制は無担保ローンの利用限度額全体が対象となっており、他社ローンの利用限度額と合算で年収の1/3に相当する額までしかキャッシングを認めてもらえません。
失敗の理由1:借入件数
どの金融機関でも「無担保ローン3件以上=多重債務や過重債務の危険あり」と見なします。
実際に借入していなくても、カードローンとの契約はすべて1件としてカウントされており、増額に応じることで一気に全社から借りて返済不能に陥ってしまうリスクがあると考えられてしまうのです。
「増額審査を受ける」と決めた場合は、むやみな新規契約や増額は控え、これからも長く付き合いたいカードローン1社にターゲットを絞るようにしましょう。
カードローンの増額審査で限度額が下がるケース
カードローンの増額審査では利用者の属性が再度チェックされます。
そのため、利用時より属性が悪化していれば利用限度額が引き下げられることもあります。
以下などに心当たりがある人は増額審査を受けるのは止めておきましょう。
- 新規借入時より年収が下がっている
- 新規借入時より他社の借入額が増えている
- 複数回返済の遅延があった
詳しくは次から見ていきましょう。
新規借入時より年収が下がっている
消費者金融系カードローンは貸金業法によって総量規制(年収の3分の1)以上の融資を禁じられています。
つまり、どんなに属性が良く利用実績があったとしても年収が300万円の人が借りられるのは100万円までです。
そのため、新規借入時より年収が下がっている場合は現在の年収に合わせて借入限度額が調整され、利用できる額が低くなります。
増額審査を受ける前に年収が上がっているかチェックしておきましょう!
新規借入時より他社の借入額が増えている
先ほど、消費者金融系カードローンでは年収の3分の1までが借入限度額に設定されると解説しました。
よく勘違いしている人も多いのですが、総量規制はカードローン毎に設定される訳ではなく、利用者が利用しているカードローン全てに適用されます。
つまり、年収300万円の人が他社から40万円を借りている場合、借りられるのは60万円までです。
そのため新規借入時より他社の借入額が増えている場合は、年収の3分の1から借入残高を引いた額が限度額になり、利用できる額が低くなります。
増額審査を受ける前に他社の借入状況をチェックしておきましょう!
また、銀行系カードローンは総量規制の対象外ではありますが、大手メガバンクは総量規制と同じ年収の3分の1以上の融資をおこなわない自社規制をおこなっています。
そのため、消費者金融系カードローンと同じく、年収が下がった・他社の借り入れ額が増えた場合は借入限度額が引き下げられるでしょう。
複数回返済の遅延があった
カードローンの増額審査に通るためには、優良顧客の実績を得る=期日を守った返済を続けることが重要だと説明しました。
一方、返済の遅延が複数回ある場合は返済能力に問題があると判断され、借入限度額を引き下げられる可能性があります。
カードローン会社が具体的に「何回以上延滞があった場合は、借入限度額が下がる」という基準を公表している訳ではありませんが、2回以上の延滞があった場合、増額審査を受けるのは危険だと言えます。
増額審査を受ける前に自身の返済状況をよく思い出しておくことをおすすめします。
カードローンの増額審査の流れ
カードローンの増額審査は以下の流れに沿っておこなわれます。
- 各方法から増額審査を申し込む
- 収入証明書を提出する
- 在籍確認を受ける(転職した場合)
- 増額審査の合否結果を受け取る
詳しくは次から見ていきましょう。
各方法から増額審査を申し込む
増額審査は自動的にはおこなわれないため、利用者本人が下記などの方法で増額審査を申し込む必要があります。
- Web
- 電話
- 店頭窓口
- 自動契約機
この中では手軽な方法であるWebや電話申し込みを利用することをおすすめします。
Webや電話でも即日の増額審査を受けることは可能ですし、店頭窓口や自動契約機ではベテランの審査員が増額の審査を担当をするため、服装や言葉遣いなど隅々までチェックされるためです。
ただし、多くのカードローン会社は新規申し込みと比べ、増額審査の電話受付時間を短めに設定しています。
遅くとも18時までには申し込みの電話を掛けることをおすすめします。
収入証明書を提出する
増額審査では収入証明書の提出が必要になります。
収入証明書として利用できるものとしては、以下などが挙げられます。
- 給与明細書
- 所得証明書
- 課税(非課税)証明書
- 源泉徴収票
- 確定申告書
どの書類を利用するにしても、最新発行のものを提出する必要があります。
また、書類をWebで提出する際は画像の手ブレや、見切れなどには注意しましょう。
在籍確認を受ける(転職した場合)
新規申し込み時と職場が変わっている場合は、在籍確認がおこなわれます。
しかし、手順や方法などは新規申し込み時と変わらないため、落ち着いて在籍確認が取れる準備をしておくことが重要です。
増額審査の合否結果を受け取る
書類提出や在籍確認が完了次第、審査がおこなわれ増額審査の結果通知がされます。
なお、どのカードローン会社でも増額審査の合否通知は必ず電話でおこなわれます。
合否通知の電話が取れるまで、増額後の利用限度額で融資を受けることはできません。
そのため、増額審査を申し込んだ後は電話を取れる体制を整えておくことが重要です。
また、万が一合否結果通知の電話を取れなくても折り返せば問題はありません。
カードローンの増額審査は土日でも受けられる
カードローンの増額審査は土日でも受けることは可能です。
しかし先ほど説明した通り増額審査には収入証明書の提出が必要になるため、土日に会社が閉まっている場合は平日中に収入証明書を準備しておく必要があります。
また、土日の場合は審査が翌営業日に持ち越しされる可能性も高いです。
スピーディーに増額審査を受けたい場合は平日に申請することをおすすめします。
カードローンの増額案内が来たら審査に通る?
カードローンの利用を続けていると、担当部門側から増額案内が届くことがあります。
「カードローンから案内を受けた=必ず増額できる」と考えがちですが、実はそうではありません。まずは増額案内をどういった人が受け取れるのか確認してみましょう。
増額案内が来てもカードローン審査に100%通る訳ではない
そもそも増額案内とは“優良顧客”を厳選して送られてくるわけではありません。
大手カードローンのほとんどは、利用者の登録データベース上「契約期間や取引回数において増額審査の最低条件が整っている」という切り分けがなされた人へ、自動的に案内を送っています。
数十万人~数百万人の利用者を抱える企業には、個別に担当者をつけて処理したり質問に応じたりする余裕はないからです。
増額案内はその会社にとって特別な顧客に宛てたものではなく、せいぜい「利用状況のよい顧客へのダイレクトメール」という意味合いに留まるのです。
増額案内は審査免除を意味しない
したがって、案内を受けたかどうかに関わらず、増額申込時はかならず審査を受けなければなりません。
過度な期待はせず「申込条件はクリアできている」という認識のもとに、十分な対策をとっておく必要があります。
カードローンの増額審査へ申し込む際は対策をしっかりやろう
「利用限度額だけでは足りない」と感じたときは、これからも利用したいと感じる取引先のカードローンへ増額審査を申し込むことをおすすめします。
契約金利を有利に見直してもらえる可能性があるほか、安定して短期間で追加借入が望めるからです。
増額審査を受ける際は、申し込みするための最低条件(契約期間・取引実績・収入証明書の準備)とともに、以下の審査のポイントを意識しましょう。
- 年収の維持or増加が実現できているか?
- 申込時点の職場で勤続1年以上の実績があるか?
- 可処分所得を十分確保できているか?
- これまで滞納せず、完済実績もしっかりと積んでいるか?
- むやみに他社ローンの契約数や増額をしたり、滞納したりすることはなかったか?
増額に成功すれば、これまでに比べてより便利にカードローンを使いこなすことが出来ます。十分な対策をして申込に臨みましょう。