今まで、専業主婦の方や無職の方、すでに他社からの借入がある方には銀行カードローンをおすすめするのが一般的でした。
これは、消費者金融から年収3分の1を超える融資を禁止する制度です。
貸金業法では総量規制の規定があるのですが、銀行にはないため、銀行カードローンは総量規制の対象外だと言われてきました。
実際はどうなのか、詳しく解説していきます。
銀行カードローンの審査でも総量規制を超える希望が通るのは稀だった
銀行カードローンは総量規制対象外ですが、それは年収3分の1以上でも借りられるという訳ではありません。
法律上はOKでも、審査では総量規制を超える人を落としているケースが多いです。
無職や専業主婦になると収入が0なので、返済ができる見込みはほぼありません。
こうした方にお金を貸したとしても、途中で必ず返済不能になり、途中解約となります。
完済してくれないと銀行自身が困るので、結局審査に落としているのです。
銀行カードローンのほうがむしろ審査は厳しい
何と言っても、銀行カードローンは基本的に消費者金融よりも審査が厳しいです。
これは、銀行は消費者金融と違って貸金業以外にもさまざまな事業を展開していることが関係しています。
銀行は信用こそが何より重要なので、非難されやすいローン事業こそルールを守って運用するという意識が働き、審査が厳しくなるのです。
また、銀行カードローンのほうが消費者金融よりも金利が低いことも関係しています。
銀行カードローンの上限金利は平均で年14~15%。これに対して消費者金融の上限金利は平均年18%です。
例えば1年間で100万円の借入を返済する予定だったのに、半年の時点で返済不能に陥ってしまったとします。
この時、金利の高い消費者金融のほうが利益の回収率は高く、リスクも最小限で済みます。
銀行カードローンはこうした背景から完済してくれることを前提に審査をおこなうので、基準は厳しくなるのです。
そのため、銀行カードローンはそもそも無職や専業主婦が審査に通るような性質のものではないのです。
銀行カードローンが無職・専業主婦だと借りれないと表明したことはなかった
上のような事情がある一方で、これまで銀行カードローンがはっきりとステータスが低い人の申込を拒否したことはありませんでした。
これは、銀行法という法律に従ってそうしていたという部分が大きいと思われます。
実際、銀行カードローンの審査に無職や専業主婦がどれくらい通っていたかを調べることはできません。
また、全ての金融機関はカードローン審査の内容を一切公表していないため、本当に総量規制対象外でもOKであったかどうかを確かめられませんでした。
ネット上では真偽はともかくとして、「無職でも通った」という口コミがあるにはあります。
銀行カードローンは2017年から実質総量規制対象に
銀行カードローンは総量規制対象ではありませんでしたが、2017年からは自主的に年収3分の1を超える融資を禁止しています。
2017年に取られたアンケートによると、大手や地銀を合わせた全国さまざまな銀行の約9割が年収3分の1を超える貸付を自主的に規制していると回答しています。
これまでは実態はともかく、表面的には総量規制対象外とされていました。
しかし、2017年からは銀行カードローンは明確に低年収や収入0の方が審査に通らなくなっています。
銀行カードローンが審査に自主規制を設けた理由とは?
銀行カードローンが自主規制を急に設けた理由はどこにあるのでしょうか?
審査を保証会社に丸投げしていると批判を受けた
銀行カードローンの審査は、自社や消費者金融系の保証会社がおこなうのが普通でした。
つまり、銀行は申込を受けたらその情報を保証会社に共有し、通過した人に融資のみをおこなっているという状況だったのです。
その結果、銀行は自社のカードローンをどういう人が利用しているのかを把握しきれておらず、過剰貸付により自己破産者を増やしたり、反社会勢力に融資をしたりするケースが後を絶ちませんでした。
利用者第一や、反社会勢力との関係断絶を表明している銀行のずさんな実態が知られて大きな非難を受けたのが2016~2017年頃でした。
これを機に自主規制を強化した可能性が高いと考えられます。
2018年から銀行カードローン審査に警察データベースの照合手続きが追加
2018年から、申込者をより厳しくチェックするために、申込者情報を警察のデータベースと照合する作業が追加されました。
これは、反社会勢力への融資を一層制限するためです。
これにより審査が厳しくなるという噂もありましたが、審査基準にそこまでの影響はありませんでした。
ただ、手続きが追加されたことで審査にかかる時間が増え、2018年から銀行カードローンは即日融資が不可となっています。
スルガ銀行の事件で地銀カードローンの自主規制がより厳しくなる?
2018年に発覚した不正融資事件で、地銀の融資事業の在り方が大きく問われました。
不正融資が起こった理由は多数あるのですが、そのうちの一つに、営業部が審査部を恫喝して、審査基準ギリギリの人を通していたというものがあります。
申込者の獲得を営業部がおこない、審査部がそれらを選別するため、営業部と審査部は対立関係にあるのが普通です。
しかし、大きな銀行なら営業部と審査部の距離が遠く、お互いカンタンに介入できないようになっています。
スルガ銀行で営業部優位の体制だったのは、地銀特有のコンパクトな体制のため、お互いの距離が近かったのが原因ではないか?とも思えます。
この事件を受けて、行政の地銀ローンをチェックする目はより厳しくなるでしょう。
摘発を受ける前に、スルガ銀行以外の地銀は審査を更に自主規制するのでは?と考えることもできます。
地銀はカードローン事業から撤退した訳ではない
とは言え、地銀はカードローン事業を縮小しようと思ってはいません。
むしろ、ほぼ全ての地銀で経営悪化が見られる今、利益率の高いカードローン事業は積極的に押し出したいと思っているのでは?と考えることができます。
現在はネットが普及して、地方でもメガバンク・ネットバンクのサービスが簡単に利用できます。これにより、地銀の優位性はほとんどないという現状があります。
また、地銀カードローンを利用できる人は銀行の営業エリア内に住む人か、勤務している人に限られます。
銀行側は利用者を求めているのに申込者が少ないという現状の中、そこまで自主規制を厳しくすることはないのでは?と考えることもできます。
総量規制に引っかかったら公的機関に相談しよう
総量規制に引っかかっている方は、貸金業法で制限される貸金サービスが全て利用できません。
さらに、自主規制によって2017年からは銀行からの融資もほぼ見込めないという状況です。
この状態で審査が通るローンを探していっても、行きつく先は闇金や個人融資しかありません。
これらは実質審査なしでお金を借りられますが、法外な高金利を吹っかけてきますし、二次被害の可能性も非常に高いです。
どうしようもなくなった方はまず公的な機関に相談することをおすすめします。