多重債務者にとって借金完済への心強い味方といえば、各種金融機関のおまとめローンです。
中でもインターネットやコンビニから手軽に申し込み可能な消費者金融のおまとめローンは、テレビや街頭などで広告を目にしたことのある方も多いのではないしょうか。
おまとめローンのメリットは返済の窓口を一本化できること。また場合によっては現状の借り入れよりも、金利を低くすることもできます。
しかしそのためにはいくつか注意点もあります。
今回は代表的な具体例をいくつかご紹介しつつ、おまとめローン利用時の注意点についてご紹介します。
代表的な消費者金融おまとめローン
まずは代表的なおまとめローンを一覧でご紹介します。
貸付限度額300万円
実質年率7.7%~18.0%
返済期間及び返済回数最長13年7ヵ月(162回)
貸付限度額300万円
実質年率6.3%~17.8%
返済期間及び返済回数最終借入後最長10年(120回)
貸付限度額800万円
実質年率3.0%~17.5%
返済期間及び返済回数最長10年(120回)
貸付限度額300万円
実質年率10.5%~18.0%
返済期間及び返済回数最終借入れ日から最長8年(96回)
返済方式は元利均等返済方式または元利定額返済方式となっています。
名称は少し違いますが、両者とも月々の返済額を一定にできる方式です。
また担保や保証人は不要です。それぞれについてもう少し詳しい内容をご説明します。
アコム「借換え専用ローン」
貸付条件は『成人以上の安定した収入と返済能力を有する方で、当社基準を満たす方』とあるため、非正規雇用の人や継続してアルバイトをしているフリーターの人であれば利用することができます。
アコムは審査時間の短さも売りの一つにしていますので、問題なく審査を通過できれば申込みから最短30分で融資してもらうことも可能です。
審査に必要なものは運転免許証等の本人確認書類と源泉徴収票、確定申告書などの収入証明書。加えて通帳等の返済用の引落口座がわかるものと、その口座の届出印が必要です。
逆に言うとこれらさえあれば自動契約機で簡単に契約することができるのです。
ここまでは利用しやすい点をお伝えしましたが、続いて利用時の注意点をお伝えします。
借換えの対象となるのは他社貸金業者からの借入れに限られ、銀行やクレジットカードのリボ払いは対象外となっています。
また貸付限度額は借換え対象となるローン元金のみの残高かつ300万円までの範囲内となり、利息分は含まれていない点も注意が必要です。
加えて借換え時に限度額まで余裕がある場合でも、差額分の追加融資を受けることはできません。あくまでも返済専用の商品となっています。
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プロミス「おまとめローン」
前述のアコムと同じく、利用者は年齢20歳以上の安定した収入のある人に限られます。
ただし年齢の上限が65歳までという制限が追加される点は注意して下さい。その他の利用条件についてもほぼアコムと同様です。
資金用途は他の貸金業者からの借入れ金返済のみ、銀行のカードローンやクレジットカードのショッピング払いなども対象外となっています。
実質年率はアコムより低くなりますが、その分最長の返済期間も短く設定されていますので、検討の際はポイントにして下さい。
個人の過度な借入れ防止策として定められている「総量規制」という仕組みがあるのですが、これによると通常は年収の1/3を限度とした金額までしか融資を受けることができません。
しかしプロミスのおまとめローンは総量規制の例外となる取引として認められているようですので、年収の1/3を超える額でも借換えをすることができます。
しかしながらこちらの商品も返済専用商品となりますので、借換え以上の追加融資を受けることはできません。
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アイフル「かりかえMAX」
他社のおまとめローンとは違い貸付限度額が800万円と高めに設定されていますので、元の借入れ箇所が多い場合など、借換えに必要な金額が大きくなってしまった際でも利用可能なおまとめローンとなっています。
また実質年率も3.0%~17.5%と、例として挙げた三社の中では一番低く定められており、他社からの借換えを前提としていることがよく分かる商品です。
加えてアイフルのこの商品は消費者金融の中で唯一、銀行からのローンも一本化することができます。
ただしこのおまとめローンは、借入れ可能な限度額が大きいことに対して最長返済期間は10年間と、他社と比較してもそれほど差がありません。
仮に利息分を含めない単純計算をしてみましょう。例えば他社の貸付限度額である300万円を10年で返済しようとすると、月々の返済は25,000円です。
対してアイフルの限度額800万円を10年で返済しようとした場合は、月々約67,000円と倍以上の返済額になってしまう場合がある点には注意して下さい。
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ノーローン「かりかエール」
貸付条件には他社同様『20歳〜55歳までの安定した収入のある方』という年齢制限の他、契約時にノーローンと契約がないことも条件として付加されています。
つまりこの商品も、他社からの借換えのみを目的としていることがよく分かるものになっています。
特徴として、毎月の最小返済額を2.0%〜3.0%の範囲内であれば1,000円単位で相談可能なことが挙げられます。
ですので月々の返済額を細かく設定したい人は、利用しやすいおまとめローンと言えそうです。
その他の利用条件はおおよそ他社同様となっていますが、最長返済期間に注目してみると、この商品のみ最長返済期間が8年間の設定になっています。
返済期間が一番短いわけですから当然同じ金額を借りる場合は、月々の返済額も他社に比べて多少増えてしまいます。
しかし言い換えれば、もっとも早く借金の完済ができるおまとめローンであるのかもしれません。
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消費者金融おまとめローンがおすすめされない理由
ここで初心に立ち返って思い出したいのが、借金をおまとめローンで一本化した場合でも、元々の返済額が減るわけではないということです。
おまとめローンで借換えをすることによって、確かに月々の返済額は減少するかもしれませんが、裏を返せば返済期間が伸びているだけで、その分利息が増える可能性も高くなっているわけです。
それでも借換えたことによって、増えた利息分がペイできれば良いのですが、借換え期間が長期間になればなるほど利息分も上乗せされ、結局借換え前と同等あるいはそれ以上の金額を返済しなければならない場合も十分考えられます。
具体例を挙げながら各消費者金融のおまとめローンを見てきましたが、上記の観点から見直した場合、率直にいかがでしょうか。
手軽であることは間違いない消費者金融での借換えですが、気になる点は本当にありませんか?次からはいくつか不安要素になりそうな部分を、見ていきましょう。
やはり金利の高さがネック
例えば銀行系のおまとめローンを金利に注目していくつか見てみましょう。
カードローン | 金利(年率) |
---|---|
オリックス銀行「オリックス銀行カードローン」 | 1.7%~17.8% |
北洋銀行カードローン「スーパーアルカ」 | 1.9%~14.7% |
横浜銀行「横浜銀行カードローン」 | 1.9% ~ 14.6% |
楽天銀行「楽天銀行スーパーローン」 | 1.9%~14.5% |
消費者金融の上限金利が平均して18%前後であることに対し、銀行系の場合は約15%と3%程低い金利になっています。
おまとめローンを検討する人は、ある程度大きな金額の借換えになりがちです。
ですからたかが3%の差だとしても、最終的には決して無視できない金額になってしまうことは十分に考えられます。
返済専用なので追加借入ができない
基本的におまとめローンの返済中は追加で融資を受けることはできません。
また契約内容によっては、おまとめローンを返済している会社以外の他社から新規で借入れをした場合、契約違反とみなされることもあるようです。
あるいはせっかく下がった月々の返済額まで、見直しされてしまうということも。
このように追加借入れができないことをデメリットと捉える方も多いかもしれませんが、おまとめローンを検討する多重債務者にとってはむしろメリットと捉えるべきでしょう。
あくまで借金完済のためのローンとして組むわけですから、借金がこれ以上増えないということを前向きに捉えられて初めて、検討の価値があるローンかもしれません。
「もう借りない!」という強い意志があるなら逆におすすめ?
おまとめローンの目的はあくまでも借金返済。
そのため、例えば急に資金が必要になった場合でも、おまとめローンで借入れた資金をその他の用途に使用することはできません。
どうしても追加で借入れをしたい場合は、新たにカードローン等を組み直す必要があります。
ただしこの場合も「既に返済専用ローンを組んでいる」という情報が、審査機関内で不利側に判断されてしまうことがあるため注意が必要です。
またせっかく借金返済用にローンを組んだにも関わらず新たに借入れをしてしまうのは、結局残債が増えるだけですので本末転倒。
完済までは追加で借入れしたいと思っても、グッと我慢することが大切です。
言い換えれば「完済するまでは絶対に追加で借入れをしない!」という、確固たる意思のある人は利用してもいいかもしれません。
限度額が低く一本化できない可能性もある
そもそも消費者金融が提供するおまとめローンの限度額は、300万円程度が上限である場合が多いようです。
単純計算50万円のローンを6ヶ所分まとめてしまえばあっという間に限度額に達してしまいます。
またローンを組む場合は少額ではなく、なにか大きい買い物をしたような場合や、習い事や資格学校の学費など、どうしても大きな金額になってしまいがちです。
加えて限度額いっぱいまで借入れができるかどうかも審査機関の判断によります。
複数箇所から借入れをしていたものを、一箇所から借入れし直すわけですから、当然おまとめローン先の一箇所からは多く借入れをすることになるでしょう。
一般的には利用限度額が高くなるほど、審査も厳しくなる傾向があると言われています。
消費者金融おまとめローンがおすすめな人の特徴
ここまでデメリットとなりそうな側面を見てきました。今度は反対に消費者金融を利用するメリットを考えてみます。
そもそもおまとめローンに借換えようと思うきっかけは、月々の返済額を減らすことであったり、複数の借金を一本化して返済窓口を一つに絞ることなどが考えられます。
これらがおまとめローンの大きな魅力であるのは間違いありませんが、わざわざ消費者金融で借入れなくてもよいのも事実。
では消費者金融ならではの魅力とは?やはり審査の早さとそれに伴う融資決定までの短さです。
多くの消費者金融ではおまとめローンの申し込みから、最短即日という短期間で融資をしてもらえます。
これは銀行にはない大きな利点です。この即日融資となるメリットを享受できる人とは、どんな人なのでしょうか。
できるだけ早く借金をまとめたい
銀行でローンを組む場合、長ければ融資まで一月近くかかってしまうこともあります。
また何度も窓口まで出向く必要があったり、提出書類を揃えたりと、なにかと面倒な雑務が多いです。
反面、前述のメリットと一部重複してしまいますが、消費者金融でおまとめローンを組む場合は、最短即日で融資をしてもらえます。
一度契約機に向かえばそれで良しどころか、ネットで手続きが完了してしまう場合もあります。
そのため元金が増えすぎて利息ばかり返済している状況のような、一刻も早く借入れ金をまとめたいという人には向いていると言えるでしょう。
また直近で住宅ローンを組む予定がある人にも向いています。住宅ローンはもっとも審査が厳しいローンと言われます。
多重債務者では審査を通過するのが難しい場合もありますので、おまとめローンで早急に多重債務状態を解消しておく方がよいでしょう。
銀行のおまとめ審査に通るか不安
多くの消費者金融では成約率をWEB上で公開しています。例えばアコムで公開されている成約率は約45%前後です。
一方、銀行のローン成約率は公開されていませんが、一般的には高くても20%前後と言われています。
数字を並べてみると消費者金融の成約率が高いことがよくわかります。
なぜ消費者金融の方が審査を通りやすいかというと、消費者金融と銀行では審査の仕方が少し違うためです。
消費者金融の審査は消費者金融内でのみ完結する場合がほとんどですが、銀行の場合は銀行内での審査に加えて保証会社による審査も行われます。
つまり二重に審査されるわけですから、審査にかかる時間も長くなってしまいますし、審査を通過するハードルも必然的に高くなってしまうのです。
気に入った消費者金融を継続して利用したい
一度消費者金融と契約すると、仮に借入れを完済した場合でも基本的には自動解約とはなりません。
むしろ手数料等は必要なく継続して利用することができます。
ですから完済後しばらくたってから、再び借入れせざるを得ない場合はそのまま同じ消費者金融を利用するのが、一番手間も時間もかからずに済むでしょう。
また一度「完済した」という事実は、消費者金融側にとって優良顧客である証明にもなります。そのため再度借入れをする際には、審査が通りやすくなる可能性があります。
ただしこの自動更新は最長で5年までとなり、それ以降に再度借入れを希望する場合は、もう一度初めから手続きが必要です。
しかし過去の契約情報は消費者金融側に残っていると考えられるため、再契約時の方が過去の契約時よりも希望が通りやすい傾向にあるようです。
繰上げ返済を駆使して金利の高さをカバーしよう
繰り上げ返済とはある程度まとまったお金で一括払いをして、残債を減らす仕組みです。ポイントは残債が減る点。
基本的に借金の構造は借りた元金+利息分です。この利息は借入金額が多いほど、また借入れ期間が長いほど増加してしまうのはご存知の通り。
また利率が高ければ高いほど、支払う利息金が高くなるのも当たり前のことです。
つまり残債(=元金)を減らすことができれば、その分利息も減ることになります。
残債が減れば、その分だけ返済期間も前倒しで短くなります。
返済額も無駄がなく、また早く借金を完済することができる。まさに一石二鳥の返済方法が、繰り上げ返済というわけです。
消費者金融の金利の高さは既にお伝えしてきましたが、金利が高いからこそ少しでも無駄を無くして、早期完済を目指すことが大切です。
そしてそのためには繰り上げ返済を活用することは、とても有意義な手法と言えるでしょう。
頃合いを見て早めに一括返済
繰り上げ返済と似ていますが、返済後も月々の予定額を払い続ける繰り上げ返済に対し、一括返済とは残債を全て一括で支払ってしまうことを言います。
返済予定額の残りが少なくなってきた頃合いを見て、一括返済を計画するのがよいでしょう。
返済予定額はあくまで指定回数のうち全ての機会を利用して、予定返済額を変更せずに完済した場合の金額です。
そのため一括返済をした場合、残りの予定回数分の利息を支払う必要がなくなります。
つまり繰り上げ返済時のように、返済額を減らすことができるもう一つの方法なのです。
支払い金額が変更になる場合が多いため、別途手続きを必要とすることがほとんどですが、その手間をかけるだけの効果はあるでしょう。
基本的におまとめローンは銀行のものを使う
どこで借入れをしたとしても最終的に借金であることには変わりないわけですが、やはり消費者金融でおまとめローンを組むよりは、銀行が扱っているローンを組むことを優先して考えるのが良いでしょう。
借金ですからなるべく無駄なく、支払う額も必要最低限であることが望ましいです。
そうなってくると多少手間や時間はかかったとしても、金利の低さを無視できません。
また、多くの銀行は消費者金融のように借換えに特化したおまとめローン商品は扱っていない代わりに、使用目的を問わない多目的ローンを展開していることが多いです。
これをおまとめローンのように利用し、借金の借換えをすることができます。
一般的に消費者金融のおまとめローンよりも銀行の多目的ローンの方が、貸付限度額が高いため借金の一本化ができないことはほとんどありません。
また一口に銀行ローンと言っても、今はネットバンクのような窓口のない銀行もありますし、当然ですがそういった銀行の手続きは全てネットの上で完結できます。
また銀行によっては即日とまではいかないものの、なるべく早めに融資を決定してくれる場合もあります。